月刊ほんコラム 私の論点:図書館をとおして

コラム

 

子どもの読書

 

 4月23日~5月12日は「こどもの読書週間」だった。「子ども読書活動推進法」により、4月23日が「子ども読書の日」となった影響もあり、さまざまな読書イベントが開催された。全国学校図書館協議会の調査によると、昨年5月の1カ月間に子どもが読んだ本は、小学生が10・1冊、中学生は4冊、高校生は1・7冊だった。思ったよりも、子どもたちが本を読んでいることが分かる。特に小学生は本をよく読んでいる。これは、幼児期における両親や読書ボランティアなどによる読書推進活動の影響が大きい。

 一方で、高校生になると小学生の2割弱しか本を読まなくなっている。これには部活動や受験、就職活動といったさまざまな要因があるだろう。この現象は、小学校高学年から始まっているようだ。読書は幼年時に身に付けなければならず、周りの大人のサポートが必要なことは言うまでもないが、小学校高学年になると自ら本を選ぶことが求められる。
 
 その時に必要になるのが、子どもに最も身近な学校図書館である。学校図書館法第1条では「学校教育において欠くことのできない基礎的な設備である」とされている。しかし、学校図書館は、学校間で整備や人員配置などに格差があるのが現状だ。
 
 秋田県では、2009~11年に25人の司書を市町村に派遣し、学校図書館の活性化を図った。私はその事業で派遣した司書の研修を担当した。特に効果があったのが、図書館の環境整備を行う「ビフォーアフター研修」だった。学校図書館の本は原則、日本十進分類法で並んでいるが、それでは不十分な時もある。例えば学校行事や学校生活などをテーマとした図書展示は非常に効果的である。わずか2時間の作業で学校図書館の雰囲気は一新し、多くの子どもたちが図書館を訪れる。学校図書館はいわば、毎日の手入れが必要なぬか床のようなものだ。だが、学校だけで十分な人員を配置することは難しい。今、地域の力が求められている。ぜひ、近くの学校図書館を訪れてほしい。

 

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