月刊ほんコラム 私の論点:図書館をとおして

コラム

 

メディアリテラシー

 

 仕事や勉強でも何かをしらべなければならないことがあると思います。昔は簡単なことでも調べるには、詳しい人に尋ねたり、調査に行くなり、様々な手間をかけなければなりませんでした。しかし、今では、多くの人はインターネットを使うことによってたくさんの情報を簡単に手に入れることができるようになりました。私の勤めている図書館でもレファレンス・サービス(調査・相談サービス)の担当職員は利用者からの質問に、インターネットによる調査を使っています。しかし、ここは少し注意が必要です。インターネットの情報は、間違いを気づかないで利用してしまうことがあります。例えばネット掲示版での情報は、少なからずの間違いが含まれていて、これそのまま使ってレポートを書いてきた学生が、後でミスを指摘されることはよく聞く話です。単独のサイトの情報だけで調査し、それが正しいと考えたことが原因です。

 知人のジャーナリストである菅谷明子氏が書いた『メディア・リテラシー―世界の現場』の中にこんな場面が紹介されています。「ある学校の授業の中で、ホロコーストの事を調べることになり、一人の子どもがホロコーストはなかったと発表します。理由を尋ねるとある大学教授のホームページにそう書いていたからと答えたので、担当した先生は後日、実際にホロコーストの被害にあった人を学校に呼んで子どもたちに話してもらうことになりました。」

 現在の私たちは、多くの情報源に囲まれすぎています。ですから複数の情報を比較し、さらにそれをクリティカルに評価して判断することがとても重要になっているのです。このことを「メディアリテラシー」と呼びますが、北米やヨーロッパの国語の授業の中では重要視され、教育しています。もし皆さんが何かを調べなければならない時、ぜひ図書館を活用し、複数の資料を見て比較しながら情報を集めてください。そのために図書館にはたくさんの資料を準備しているのです。

 

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