IRIの趣旨

近年の情報通信技術の急激な進展などの要因により、21世紀は、有形財が重要な資源となる工業化社会から知識という無形財が重要な資源となる知識社会へと移行しつつあると言われます。この知識社会では、既存の知識を活用するなどして新たな知識を創造することが重要であり、その振興のため、図書、雑誌、辞典類、データベース、インターネット情報源などの知的情報資源を効果的に収集し、蓄積し、利用する環境の整備・充実が必須であるとされています。

ところで、知的情報資源の収集・蓄積・利用に関する環境整備については、欧米先進国、中国や韓国などのアジア各国で積極的に取り組まれ、政府が主導する 事業も少なからず見受けられるのに対して、わが国の現状は、必ずしも先進的であるとは言い難い状態です。例えば、図書・雑誌・新聞などの印刷出版物やイン ターネット上のデジタル情報などは、必要な情報を簡便に検索し、入手できるように体系的に蓄積・整理されていない場合がいずれについても多く、また、知的 情報資源に関する著作権の処理が容易でないために、それらの効果的な活用が妨げられることもしばしばあります。

このような現状を打破するためには、関連する法制度の整備や財政支援にとどまらず、関係者の緊密な協力を基礎とした包括的な対策が必要ですが、その前提 条件として、知的情報資源の収集・蓄積・利用に携わる、またはこれらに関心を持つ個人・団体・機関が、短期的な利害にとらわれず、知的情報資源に関わる環境整備という大局的な見地から相互交流を深め、議論を行うことが極めて有用であると我々は考えています。

我々は、それらを実現するため、所属機関や業種を横断・超越して個人・団体・機関が交流する目的で会合や研究会などを開催し、知的情報資源の収集・蓄 積・利用に関する研究を行い、それらに関する啓蒙や提言の公表をホームページやパンフレットの作成・配布などを通じて行う団体が必要であり、またその団体 として特定非営利法人が最適であると考え、このたびこれをIRI(Intellectual Resource Initiative: 知的資源イニシアティブ)として設立しました。