Library of the Year 2023 授賞理由

Library of the Year 2023 ライブラリアンシップ賞

 長年にわたって地域住民や図書館員が協同し、さまざまな図書館的活動を継続的に行ってきた図書館等を称えるための賞です。なお、この賞におけるライブラリアンとは、図書館員グループおよび地域住民、関係者の総体を示しています。日本を代表する優れた図書館サービス等を、館種を超えた図書館や地域住民とともに、長期にわたって行ってきた活動を評価します。 

(以下、五十音順)


国立国会図書館デジタルコレクション

【授賞理由】

 長年の資料デジタル化で誰もが調査・研究に親しめる環境を実現

【授賞理由の詳細】

2000年度に始まった資料デジタル化だが、2014年の図書館向けデジタル化資料送信サービスでまず図書館関係者の理解を深め、次いで2022年末のリニューアルによって一般利用者に広く訴求した。20年以上に及ぶ所蔵資料のデジタル化の取り組みはインパクトをもって迎えられており、本格的な調査・研究に誰もが従来以上に親しめる環境を実現している。何事かを調べる際に国立国会図書館デジタルコレクションにアクセスするという新しい行動を生み出しており、日本の知的資源環境を大幅に向上させている。また、デジタル化によって、資料原本の保存性を圧倒的に向上させたことも大きな業績である。

東京・学校図書館スタンプラリー

【授賞理由】

 小さな一歩から大きな飛躍を遂げた学校図書館の10年間の軌跡

【授賞理由の詳細】

世間に注目されにくい学校図書館を、より多くの人に知ってもらう活動であり、その理解を深める役割を果たしている。学校図書館職員の専任化を目途として、2012年に東京都内13校の参加からスタートした。公立・私立を問わず、参加を希望する学校が気軽に参加できる仕組みにより、孤立しがちな学校図書館間の連携を深め、着実に参加校を増やすとともに、校内の協力体制や図書館広報にもつながった。各校工夫を凝らした取り組みをはじめ、実行委員会によるSNSやウェブサイトを使った広報戦略、おすすめ図書リストの書籍化や作家を招いてのイベントなど、学校図書館を知ってもらうための果敢かつ継続的な取り組みは高く評価できる。


Library of the Year 2023 優秀賞

 従来の図書館イメージを覆す図書館サービスを提供し、他の図書館等の参考となる先進的な活動を評価します。なお、この賞における図書館サービスには、図書館以外の機関が展開する“図書館的な取り組み”も含まれます。

(以下、五十音順)


高知こどもの図書館

【授賞理由】

 歴史ある民間公共が実現する「行けなくても訪ねられる図書館」

【授賞理由の詳細】

民間公共図書館として開館25年に迫り、高知のこどもと大人の読む環境を充実させている。2020年の施設移転と2022年のウェブリニューアルにより、高知市の図書館を訪ねる、図書館が県内各地を訪ねる、ウェブで図書館を訪ねるという3スタイルを確立した。組織の世代交代と共にコロナ禍に自ら学んで自らを変革したDXも際立っている。特にウェブアクセシビリティは先進的だろう。補助金を用いない組織経営にも注目したい。

雑誌『ライブラリー・リソース・ガイド』(LRG)

【授賞理由】

 革新的・多角的なテーマで図書館の未来を考える言論空間を提供

【授賞理由の詳細】

責任編集制や公開編集会議など、多彩な編集スタイルで図書館の新たな視点を示している。これまで「オープンデータ」「アドボカシー」「公文書」「民間公共の系譜」「子育て支援」「ジェンダー」「条例」「経営戦略」「公園」など、革新的なテーマで図書館の未来を考える言論空間を10年以上提供し続けている。図書館の「内」と「外」の視点を意識し、多角的に図書館と社会を捉えてきた本誌の図書館界への貢献は大きい。

東京学芸大学附属図書館とExplayground推進機構MOL

【授賞理由】

 デジタル社会の教育を支える「知の循環」の再構築の追求

【授賞理由の詳細】

Explayground推進機構のラボであるMOLは「知の循環」の再構築という図書館の使命を掲げた活動であり、図書館が有するひと・もの・ことを活かしながら、教育大学らしく学びを深化させている。コロナ禍に始まったデジタル書架ギャラリーはその象徴だろう。デジタルアーカイブを活用した「教材化」ワークショップは、デジタルアーカイブを使い込むことで、既卒の教育関係者への理想的なリスキリングになっている。

みんなの図書館さんかく

【授賞理由】

 誰もが主人公として社会に参画し、共にまちを育てていく活動拠点

【授賞理由の詳細】

希望者自らが管理できる本棚の利用権を有料で提供し、そこに並べる本を他者と共有可能にすることで自己表現を可能とする「一箱本棚オーナー制度」を中心に、まちのみんなが参画できる私設公共空間をつくり出している。また、焼津を先行事例として他の地域にも同じ理念を持つ居場所づくりを進めており、「全国みんとしょネットワーク」の構築や「みんとしょサミット」の継続的運営など、普及活動への積極的な姿勢も高く評価できる。


Library of the Year 2023 特別賞

Library of the Year 2023の第一次選考会を通過した機関で、ライブラリアンシップ賞および優秀賞以外の7機関から、IRIのLibrary of the Year 2023実行委員会により決定した賞です。


■都道府県立図書館サミット

【授賞理由】

参加者で都道府県立図書館の過去・現在・未来を私たちごと化

【授賞理由の詳細】

2016年に始まった都道府県立図書館サミットは、都道府県立図書館の現状と将来像を集約し、再定置することを目的としている。有志で構成された実行委員会は、学校図書館関係者や図書館以外の関係者をも巻き込み、3年ごとの開催を重ねるに連れて、企画運営の中心を中堅・若手が担うようになっている。また、実行委員も参加者も数珠つなぎ的に広がりを見せている。報告にとどまらない時宜にかなったテーマや、さまざまな分野の識者による講演と会場全体でのディスカッションから、参加者すべてが都道府県立図書館のみならず、図書館そのものの有り様について私たちごと化して捉え、学びと気づきを持ち帰ることができる点は高く評価できる。


<報道・報告などにあたって(お願い)>

Library of the Yearは図書館の活性化を目的の一つとしています。テレビ、新聞、雑誌、ウェブなど、各種メディアに取り上げていただくことを大変嬉しく思っています。受賞された自治体等が広報に活用していただくことも歓迎・推奨しています。

ただし、本事業はその名称こそ「Library of the Year」となっておりますが、「図書館的」な機関・組織等が行なっている先進的な活動を選考対象とするものであり、「日本一の図書館」を選出することを目的としているわけではありません(主催者が大賞を受賞した機関に「日本一」という表現を用いないのは意図的なものです)。各種メディアでこの賞の結果を話題として取り上げていただく際には、本事業が意図する以下の留意点を踏まえていただくようお願いいたします。

  • 選考・評価の対象となるのは図書館等による先進的な「活動」であり、実施主体である「機関・組織等」ではありません。
  • 本事業は全国の図書館等を総合的・客観的に評価して「日本一の図書館」を決めるものではありません(大賞受賞機関を「日本一の図書館」と位置づけるものではありません)。あくまでも「他の図書館等の参考になる活動を行っているか」という基準にもとづき、選考委員・審査委員がそれぞれの観点から評価するものです。
  • 優秀賞、ライブラリアンシップ賞および特別賞を授与するに際しては、選考委員会の責任のもとに「授賞理由」を言語化し、本ウェブサイトにて広く一般に公開いたします。
  • 授賞は年に一度のみですが、選考・評価についてはここ数年程度の活動を対象とします。長期的な活動はライブリラリアンシップ賞として表彰します。

<Library of the Year 2023最終選考会開催について>

最終選考会は図書館総合展フォーラムとして、2023年10月25日(水)15:30~17:00 パシフィコ横浜にて開催いたします。皆様ふるってご参加ください。

なお、今年度の最終選考会は会場のみでの公開となり、オンラインによる配信はございませんのでご了承ください。

また、過去3年間はオンライン投票にてオーディエンス賞を決定しておりましたが、こちらについても2019年以前の方式に戻しますので、会場での投票のみに変更となります。

<追記>

「Library of the Year 2023 最終選考会」については、図書館総合展の公式ウェブサイトでも開催情報を公開しております。※ご参照URL:https://www.libraryfair.jp/forum/2023/891

2023年9月15日

 Library of the Year 2023選考委員会