Library of the Year 2022 選考委員長および受賞機関のコメント公開

2022年11月30日(水)15:00〜16:30に、オンライン(配信会場:キハラ株式会社)にて開催したLibrary of the Year 2022の選考委員長コメントおよび各受賞機関からのコメントを公開します。

2023年1月4日
IRI事務局

●選考委員長コメント

Library of the Year 2022 選考委員長・IRI理事:岡野 裕行

通算で17回目となるLibrary of the Year 2022は、2022年11月30日(水)の最終選考会をもって無事に終えることができました。選考基準に示した通り、「他の図書館等にとって参考になる優れた活動」「独創的で意欲的に取り組んでいる具体的な活動事例」を体現した図書館または図書館的活動として受賞された6機関の関係者の皆さまには、改めて感謝と祝福の言葉を申し上げます。

今年度の第一次選考会・第二次選考会においては、昨年以上に多くの選考委員の方に関わっていただきました。図書館の館種の違いや特色ある図書館的活動にも目を配れるように、さまざまな分野の専門家にお声がけをし、過去最大となる16名による選考委員の構成となりました。Library of the Yearのコンセプトにある「良い図書館を良いと言う」の理念に沿うように、今年度に新たに加わっていただいた選考委員の方々も、新しい風と新しい言葉を運んできてくださいました。また、最終選考会にご登壇いただいた5名の審査員には、それぞれの立場から「良い」という言葉を積み重ねていただきました。

そして本事業の協賛企業である株式会社内田洋行、キハラ株式会社、株式会社寿限無、富士通Japan株式会社の4企業には、賛助金をいただいたほか、最終選考会の会場提供、オリジナルのトロフィー製作、運営事務局など、さまざまな形でLibrary of the Year事業へのご協力をいただきました。イベントの広報にあたっては、図書館総合展運営委員会の皆さまにも大変お世話になりました。各社・各機関の皆さまにはこの場をお借りして厚くお礼を申し上げます。

過去2年間(2020年と2021年)については、完全オンラインで最終選考会を実施してきましたが、今年度のLibrary of the Year 2022 最終選考会については、サテライト会場に関係者が集まっての対面開催に戻すことになりました(来場できない受賞機関はオンラインによる参加)。最終選考会の途中で映像・マイクのトラブルなども多少ございましたが、登壇者や運営関係者も含め、述べ約190名(来場者33名、オンライン視聴者数82名、受賞機関のパブリックビューイング約75名)の方にご参加いただきました。

 

今年度の第一次選考会には、選考委員による推薦と一般公募をあわせて全33機関が推薦されました。そこから書面審査による第一次選考会を経て、そこから13機関が第二次選考会へと進みました。毎年の傾向ではありますが、過去のLibrary of the Yearでも名前が上がっていた機関が再度登場することもあれば、今年になって初めて推薦されてくる機関もあり、多様な候補機関が名を連ねていたことが印象的です。Zoomを用いた第二次選考会を2022年9月7日(水)に実施し、今年度のライブラリアンシップ賞として2機関、優秀賞として4機関、合計6機関を選出しました。

長期的な活動を評価するライブラリアンシップ賞には、「千葉大学アカデミック・リンク・センター/附属図書館」「BICライブラリ」の2機関が選ばれました。今年度の優秀賞を受賞した4機関はいずれも公共図書館でしたが、ライブラリアンシップ賞は大学図書館と専門図書館が1機関ずつ選ばれております。

「千葉大学アカデミック・リンク・センター/附属図書館」は、授賞理由に「先駆的な取り組みで新たな大学図書館の姿を具現化し継続」とあるように、アカデミック・リンクの理念のもとに、大学図書館における先駆的な方向性を示し続けてきた取り組みが評価されました。過去の2015年にも候補機関の一つとして名前が上がっておりましたが、今回は長年の活動を評価するライブラリアンシップ賞での受賞となりました。

また、「BICライブラリ」については、第二次選考会においてほぼ満票に近い形で多くの選考委員がライブラリアンシップ賞に推してきました。機械工業図書館から改称して10年以上が経過するなかで、専門図書館を牽引し続けてきた取り組みが高く評価されました。過去の2019年にも候補機関の一つに名前が上がっており、今回は満を持しての受賞となりました。

 

優秀賞を受賞したのは、「津山市立図書館」「西ノ島町コミュニティ図書館「いかあ屋」」「みんなの森 ぎふメディアコスモス」「大和市文化創造拠点シリウス」の4機関となりました。このうち、「津山市立図書館」のプレゼンターのみオンラインによる参加となりましたが、ほかの3機関の皆さまには、今回の会場となるキハラ株式会社に集まっていただきました。コロナ禍以前のパシフィコ横浜での開催や過去2年間の完全オンライン開催では、8分間の持ち時間のなかで登壇者が入れ代わり立ち代わりする傾向にありましたが、今年度は小規模のサテライト会場での対面開催となったこともあり、各機関ともお一人だけが登壇する形でのプレゼンテーションになっておりました。途中でプレゼンターが入れ代わらなかったことで、聞き手側の立場としても各機関の取り組みをじっくり聞くことができたように思います。

また、最終選考会でのプレゼンテーションに加え、今年度も事前投票という形でオーディエンス賞も実施しました。今年度は総投票数124票のご投票をいただき、最多票を集めた「津山市立図書館」にオーディエンス賞が贈られました。

 

最終選考会の審査員5名については、Library of the Yearの実行委員会にて人選を行っていますが、今年度も「多様な分野から選ぶ」「世代バランスを考慮して選ぶ」「男女比を考慮して選ぶ」「ライブラリアンを少なくとも1名選ぶ」という条件を強く念頭に置きました。今年度については、過去のLibrary of the Yearでも選考委員/審査員をされていた猪谷千香さんには文筆家の立場から、千葉大学附属図書館の熊崎由衣さんにはライブラリアンの立場から、株式会社平凡社代表取締役の下中美都さんには出版社の立場から、みんなの図書館さんかくの土肥潤也さんと株式会社リ・パブリックの増井尊久さんには各々がビジョンとして掲げるまちの仕組みづくりやデザインの立場からのコメントを期待し、審査員をお願いしました。

なお、審査員の皆さまには、事前に「自らの審査のポイント/評価基準はどのようなものか」「その基準を今回の優秀賞受賞機関に照らし合わせた場合、どのような良い点やおもしろいと思える特徴が見えたのか」を言語化していただくようお願いしました。Library of the Yearという賞の特徴は、「良い図書館を良いと言う」というプロセスをさまざまな立場の人たちによって積み重ねていくことにありますが、今年度の審査員の皆さまも見事にそれぞれの立場から表現していただくことができたと思います。

以下に審査員5名の皆さまが語ってくださった「評価のポイント/評価基準」の要点をお示しします。

  • 猪谷さん:地域が抱える課題や描いている未来像を図書館が把握し、その実現のためにどのような取り組みを行っているか。ほかの地域でもその取り組みの真似ができるか。
  • 熊崎さん:それぞれの自治体が置かれている情況を把握し、どういった形でその改善に貢献できるのかを考えられているか。
  • 下中さん:その街の人々が希求するコミュニケーションのあり方を図書館がつくり出し、それぞれの土地にふさわしい心のつながりを実現できているか。
  • 土肥さん:市民をお客さんの状態にすることなく、市民が主役となって活動に参画することができているか。
  • 増井さん:市民のエンパワーメントや自立共生を促し、利用者個人や共同体全体の資質向上を図るような取り組みができているか。

以上の評価基準にしたがって優秀賞4機関に点数をつけていただきました。昨年同様、今年度の最終選考会も「審査員全員がすべての優秀賞受賞機関に順位をつける」(1位機関に4点、2位機関に3点、3位機関に2点、4位機関に1点)という審査方法を踏襲しました。5名の審査員の点数を合計となるため、最高得点が20点/最低得点が5点ということになります。

結果としては、大賞受賞機関は合計で18点を獲得した「みんなの森 ぎふメディアコスモス」に決定しました。獲得した18点の内訳を公表しますと、【4点・4点・4点・4点・2点】となります。4名の審査員から1位票を獲得しており、結果から見ればほかの機関よりも頭一つ抜け出しての大賞受賞となりました。なお、同館は第一次選考会と第二次選考会でも第1位の評価で通過しており、選考委員の立場からも最終選考会の審査員の立場からも高い評価を得ての大賞受賞となります。選考過程全体の流れを通じて見ても、今年度の大賞受賞にふさわしい機関と言えるでしょう。それでも3位票の2点を入れた審査員も1名含まれますので、できるだけ多様な観点で審査を行うことの意義を改めて感じます。

参考までに他機関の得点についても公表します。昨年同様に、2位以下については機関名と一致しないように、A機関・B機関・C機関と表記します。これは「優秀賞を取った時点で4機関すべてがすばらしい活動をしている」ことを強調したいためであり、大賞受賞機関のみが突出した印象になってしまうことを避けたいためです。便宜的に点数をつけて大賞を選びましたが、「優秀賞4機関の取り組みに大きな差はない」というのが私たち主催者側の見解です。

  • A機関:13点 内訳は【4点・3点・2点・2点・2点】
  • B機関:10点 内訳は【3点・3点・2点・1点・1点】
  • C機関:9点 内訳は【3点・3点・1点・1点・1点】

2位のA機関は13点を獲得しました。A機関は1名から1位票を獲得しましたが、特に多かったのは3位票の2点です(3名の審査員が点をつけました)。4位票の1点がまったく入らなかったことを考えても、全体から一歩抜けだした「みんなの森 ぎふメディアコスモス」以外では安定して高い評価を得ていた機関だと思います。一方、B機関とC機関との差はわずか1点で、いずれも2位票と4位票が集まった形となります。舞台裏では審査員5名の皆さまもだいぶ悩まれている様子でしたし、とある審査員の方の投票用紙には悩んだ結果としてぎりぎりで得点をつけ直した痕跡も残されています。最終結果としては1位票を多く集めた「みんなの森 ぎふメディアコスモス」が大賞を受賞されましたが、優秀賞を受賞した4機関の評価はどれも高いものでした。今年度に優秀賞受賞したのはすべて公共図書館ということもあり、審査員の皆さまも全員が評価が難しかったとおっしゃっておりました。

 

優秀賞を受賞した「西ノ島町コミュニティ図書館「いかあ屋」」は、授賞理由として「コミュニティ図書館」が強調されました。ワークショップ「縁側カフェ」の実施や、「みんなの家」という理念のもとに人とのつながりが生み出されているほか、出郷者も巻き込みながら現在に至っている点や、システムの面での島民の主体的活躍などが評価されました。

同じく優秀賞の「大和市文化創造拠点シリウス」は、「官民一体での整備・運営」「拡張性」などが評価されました。特に「図書館城下町」というキャッチコピーを提示しているところに図書館を重要視する姿勢が現れており、大和市が掲げるビジョン「健康都市やまと」のもとに「健康=文化」の理念を推し進めていく取り組みは見事でした。

オーディエンス賞も併せて受賞したのは「津山市立図書館」となりました。公立・国立・私立をつなぐ三館連携の「津山モデル」が高く評価されました。プレゼンのなかでは「決して派手ではない」という利用者コメントも紹介されていましたが、ほかの自治体・大学でも真似ができるような可能性を示したという点でも画期的な取り組みだと思います。

そして今年度の大賞受賞機関は、「みんなの森 ぎふメディアコスモス」に決定しました。昨年度(2021年)も候補機関に名前が上がっておりましたが、今回満を持しての受賞となりました。授賞理由にある「図書館と市民活動を軸に地域の可能性を追求する」という点が高く評価されましたが、特に「子どもの声は未来の声」という理念を提示したり、まちの誇りを育む「シビックプライドライブラリー」を整備するなど、継続して新たな取り組みを模索し続ける姿勢はほかの図書館でも大いに参考になると思われます。

 

今年度のLibrary of the Year 2022の事業は、6月から12月までの7か月間にわたり、お忙しいなか選考作業にあたっていただいた16名の選考委員の皆さま、最終選考会の審査員として快くご登壇をいただいた5名の皆さま、プレゼンテーションをしてくださった各受賞機関の皆さま、協賛企業の皆さま、多くの皆さまのお力添えで開催することができました。また、配信をご視聴くださった皆さまもありがとうございました。この場をお借りして皆さまに感謝を申し上げます。

来年度も18回目となるLibrary of the Year 2023を引き続き開催したいと考えております。Library of the Yearの掲げる「良い図書館を良いと言う」の理念にもとづき、また新しい受賞機関を皆さまとともに表彰できればと思っております。引き続き当事業に対してご協力・ご支援をいただければ幸いです。

●受賞機関コメント

○Library of the Year 2022 ライブラリアンシップ賞

千葉大学アカデミック・リンク・センター/附属図書館

この度はLibrary of the Year 2022のライブラリアンシップ賞をいただき、誠にありがとうございます。賞にご推薦いただいた皆さま、選出いただいた審査員の皆さま、また、これまでに私どもの活動に対してご支援・ご協力くださった学内外の関係者の皆さまに心より御礼申し上げます。

授賞理由の中でもご言及いただきましたが、千葉大学附属図書館は、本学の教育・研究を支援する活動として、大学図書館ウェブサイト公開や機関リポジトリによる学内研究成果の発信など日本初のことにも取り組んできました。2011年にアカデミック・リンク・センターが、附属図書館、総合メディア基盤センター(現在の統合情報センター)、普遍教育センター(現在の全学教育センター)の協力の下に、教育・学習支援を行う教員組織を伴う部局として設置されてからは、附属図書館と一体となってプロジェクト型の事業を行い、また学生も参画して多様な学習支援活動を展開してきました。その時々の環境において、利用者に何が必要かを捉え、柔軟に検討して対応することを地道に続けています。

こうした長期に亘る活動全体を評価の対象としていただいたことについて、アカデミック・リンク・センター/附属図書館において脈々と引き継がれてきた先取の精神と取組み、困難に負けることなく常に挑戦し続けてきた教職員一人一人の努力が認められた証として、教職員一同心より喜んでおります。

大学の学習・研究環境は、常に変化しています。今回いただいたライブラリアンシップ賞をゴールではなく今後へのエールと受け止めて、この先の10年20年、さらにその先に向けて、教職員一同、新たな大学図書館機能を追求しつつ、同時に利用者目線に立つという初心を忘れずに、またこの賞に恥じぬよう取組みを継続し、我々の精神を未来につないでまいります。

このたびは誠にありがとうございました。

BICライブラリ

この度は、Library of the Year 2022において、「ライブラリアンシップ賞」に選出いただきありがとうございます。率直にうれしい気持ちでいっぱいです。関係する皆様に心より感謝を申し上げます。

BICライブラリは機械産業の専門図書館です。機械産業に係る情報を収集し、提供しています。BICライブラリの前身である機械工業図書館は1963年に現在の場所で活動をスタートしました。機械工業図書館時代は、「機械産業に特化した資料を集め、提供する」ということに力を注ぎ、「知る人ぞ知る図書館であればよい」という意識が強かったように思います。そのことは、一般利用者の利用のハードルを高くしていたのではないかと思います。

しかし時代の流れ、社会情勢の変化により、機械工業図書館に対して、より多くの人に利用してもらうこと、新しいサービス行うというような新たな姿勢が求められることになりました。2011年にリニューアルとともに機械工業図書館からBICライブラリへと名称も変更し、新たな取り組みをはじめました。そのひとつがビジネス支援サービスです。

敷居が高く、存在をあまり知られていないため、広く活用されていない専門図書館の豊かな情報リソースをビジネス支援サービスにより、解消したいと考えました。

ただ、一般来館者の少ない専門図書館のBICライブラリでは、ターゲットを個人だけではなく、公共図書館そのものにすることが必要と考え実践しました。

このビジネス支援サービスを始めたことはBICライブラリにとって、大きな転機となった出来事だと思います。それまで、公共図書館だけではなく、他の専門図書館とも目立った交流はありませんでしたが、これを機に他館との交流を心がけました。ビジネス支援図書館推進協議会に入会し、そこで公共図書館の多くの図書館員と交流をする中で、専門図書館と公共図書館の交流の場である「情報ナビゲーター交流会」を開催することになり、これは10年以上続いております。

こうした交流から得た“つながり”はBICライブラリにとって宝物です。そして今回いただいたライブラリアンシップ賞はBICライブラリにとってもう一つの宝物になりました。これからもこれらの宝物を大事に磨いて、そして新たな宝物も生み出していきたいと思います。

この度は誠にありがとうございました。

BICライブラリ一同

○Library of the Year 2022 優秀賞および大賞

みんなの森 ぎふメディアコスモス

この度は、「Library of the Year 2022」大賞をいただき、誠にありがとうございます。

開館からこれまでの間、温かく、時には厳しく、見守り続けてくれた方々、関わり続けてきてくれたすべてのみなさまに深く感謝いたします。

メディアコスモスは2015年夏に開館して以来、この7年半もの間、図書館を核として、本を貸すことだけにとどまるのではなく、本や情報を真ん中に人が語り合い対話するコミュニケーションの場であることを通して、この場所からゆるやかで小さな人のつながりが大きく広がっていくことを目指してまいりました。

「子どもの声は未来の声」という理念のもとに、楽しさを媒介としてあらゆる世代の人々が混ざり合うこれまでの当市にはなかった居場所である公共空間として、年間110万人を超える来館者に支えられてきました。

そのような中で、滞在型図書館としての空間を最大限に活かす多様なコンテンツづくりを初年度から日々実験的に重ねて来ました。「子ども司書養成講座」や「ショートショート発表会」、「おとなの夜学」は、今や図書館を代表する事業に育ちました。子どもからおとなまで、様々な世代がいつも混ざりながら新しい価値のようなものに気づくプロセスをともにしてきたのだと思っています。

図書館とまちと人をつなぐ試みは「シビックプライドプレイス(ぎふ古今)」の誕生につながり、中心市街地の活性化というメディアコスモスの機能を、岐阜の魅力情報の幅と奥行きを深めつつ、岐阜市の可能性を情報面から支えながらこれからも成長を続けてまいります。

編集講座を終えた市民のみなさんとつながりながら、どうすればより多面的な情報集積の拠点となり得るかもこれからの楽しみな課題です。

これからもここに集まる多様な人・もの・ことをつなぎあい、複合から融合へとメディアコスモス全体で市民のみなさんと共創する新たな試みを続けてまいります。

最後になりましたが、Library of the Yearのますますの発展をお祈りいたします。ありがとうございました。

みんなの森 ぎふメディアコスモス

○Library of the Year 2022 優秀賞およびオーディエンス賞

津山市立図書館

このたびは、Library of the Year 2022において優秀賞およびオーディエンス賞を賜り、誠にありがとうございます。また日頃から津山市立図書館をご利用いただいている津山市民の皆様、オンライン投票いただいた皆様、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

津山市立図書館は1978年4月に開館し、1999年4月に再開発ビル「アルネ・津山」に移転しました。その後、市町村合併により加茂町図書館、久米図書館、勝北図書館が地区館となり、現在44年目となります。

今回の受賞理由となった三館連携は、2008年に美作大学図書館、津山工業高等専門学校図書館及び当館の三館、その後市内6つの高校と相互協力協定を締結したことが始まりです。「私立」「国立」「公立」という三つの異なる設置母体を越えた各自の経営資源の相互利用を「津山モデル」として高く評価していただきました。決して派手なサービスではないですが、私たちが継続してきたことが地域を支える情報インフラとして使われ、支持されていることは長年の連携の取組の成果であると感じています。

他の機関との連携も進み、入院患者の皆さんに向けた貸出サービスとして津山中央病院医療情報プラザとの相互協力を締結、放送大学岡山学習センター津山教室を誘致しました。また2021年からは定住自立圏図書館相互協力事業を開始し、1市5町の図書館との連携を進めています。

このように自治体が運営する図書館として、市内に分散している学習資源を最適化・最大化し、その循環の仕組みを作り住民の暮らしの質を上げていくことは私たちの使命だと思っています。これからも社会の変化に対応しながら、地域を支える知の拠点として職員一同活動していきたいと思います。

最後になりましたが、Library of the Yearの益々のご発展をお祈り申し上げます。

津山市立図書館一同

○Library of the Year 2022 優秀賞

西ノ島町コミュニティ図書館「いかあ屋」

この度は、Library of the Year 2022優秀賞をいただき、誠にありがとうございます。関係する皆様をはじめ、地域の皆様、これまで西ノ島町コミュニティ図書館に関わっていただいた全ての方々に心より感謝を申し上げます。

西ノ島町は、日本海に浮かぶ小さな離島、人口2,700人足らず小さな町です。住みやすい町づくりの一つとして、文化施設、娯楽施設がなかった西ノ島に2018年に図書館ができました。西ノ島町コミュニティ図書館は、図書館であると同時にコミュニティの場となることを前提につくられました。そのために、構想段階から一般町民も参加し、「縁側カフェ」という町の人たちが主体となったワークショップも行いました。だれでもいつでも参加でき、自分たちの町にできる新しい図書館作りに携わってきたことで、「自分たちの図書館」という意識をもつことができたと思います。いろいろな人が集まり、いろいろな角度からの提案が出され、この活動があったからこそ、たくさんの人のつながりを得ることができました。そして開館後も、いろいろな世代のたくさんの人に利用していただき、町の人に認められた、大切な場所になってきていると思います。

西ノ島町コミュニティ図書館はまだ開館して4年、小さな町の小さな図書館です。職員も、図書館で働いた経験のないものがほとんどです。利用してくださる方たち、関係者の方たちのご支援をいただきながら、日々試行錯誤で務めております。

西ノ島町コミュニティ図書館「いかあ屋」は、図書館“らしくない”図書館なのかもしれません。が、何かあれば、何かなくても、行ける場所。そんな図書館があってもいいと思っています。小さな町の小さな図書館ですが、出会いがあり、ともに作り上げ、そして、何かを学ぶ。ここで過ごした経験は、子どもたちの未来、町の未来に何かしら生かされると信じて、これからも、励んでいきたいと思います。

最後になりましたが、Library of the Yearのますますの発展をお祈りいたします。この度は誠にありがとうございました。

大和市文化創造拠点シリウス

この度は、Library of the Year 2022において優秀賞に選出いただき、誠にありがとうございました。

大和市文化創造拠点シリウスは2016年に、子どもから大人まで多くのみなさまに、芸術文化や生涯学習の素晴らしさ、新しい知識・本との出会いをお届けし、市民の文化的活動を創造・発信する場として誕生しました。図書館、芸術文化ホール、生涯学習センター、屋内こども広場、この4つの施設それぞれの特性を融合させた運営により、新しい価値を提供しながら日々進化を遂げています。

特に図書館では、これまでは静かに本を読んだり、調べたりする場所というイメージがありましたが、「シリウスの主役は、本ではなく人」と位置づけ、本を読むということを大切にしながら、いろいろな人が笑顔で過ごせる「居場所」にしたいと考えました。来館者が「ずっといたい」「また来たい」と思えるよう、シリウスでは館内での会話やコーヒーなどを楽しみながらくつろいだ時間を過ごせるような空間づくりにこだわってきました。

また、シリウスには大和市の将来都市像である「健康都市やまと」にふさわしい施設として「健康都市図書館」を設置し、様々な視点から医療・健康情報の収集・発信を行うとともに、同施設内で市が行っている「健康都市大学」では、「市民でつくる健康学部」と題した市民同士の学びの場を提供しています。

こうした取り組みに対しての、「これからの図書館のあり方を示唆するような先進的な活動」、「オープンから一貫して市民の支持を集めており、首都圏の地方都市において文化創造・文化芸術を掲げる施設の可能性を示している」との評価は、私たち設置・運営者だけではなく、主役である市民に対してお贈りいただいたものと認識しております。

これからも、市民・市・指定管理者が一体となり、「図書館城下町大和市」の旗印のもと、より一層の充実と革新を図っていきます。

最後になりましたが、Library of the Yearのますますの発展をお祈りいたします。この度は誠にありがとうございました。

大和市・大和市文化創造拠点シリウス指定管理者「やまとみらい」一同