Library of the Year 2021 選考委員長および受賞機関のコメント公開

2021年11月26日(金)15:30〜17:00にオンラインによって開催されたLibrary of the Year 2021の選考委員長コメントおよび各受賞機関からのコメントを公開します。

2021年12月28日
IRI事務局

●選考委員長コメント

Library of the Year 2021 選考委員長・IRI理事:岡野 裕行

通算で16回目となるLibrary of the Year 2021は、2021年11月26日(金)の最終選考会をもって無事に終えることができました。今年度の選考基準にある「他の図書館等にとって参考になる優れた活動」「独創的で意欲的に取り組んでいる具体的な活動事例」を体現した図書館または図書館的活動として、受賞された7機関の関係者のみなさまには、あらためて感謝と祝福の言葉を申し上げます。

長く継続的に選考委員を務めている人もおりますが、開催年度ごとにお声がけをしているため、その顔ぶれは毎年少しずつ入れ替わりしています。昨年度いっぱいで選考委員から離れた方も、今年度から新しく加わっていただいた方もいらっしゃいます。図書館の館種の違いや特色ある図書館的活動にも目を配れるように、さまざまな分野の専門家にお声がけをしました。Library of the Yearはそれが始まった当初からそのコンセプトとして「良い図書館を良いと言う」を掲げていますが、今年度に新たに加わっていただいた選考委員の方々は、新しい風と新しい言葉を運んできてくれたように思います。全国各地から集った審査員には、それぞれの立場から「良い」という言葉を積み重ねていただきました。

また、協賛企業として賛助金、大賞・オーディエンス賞の景品をご提供いただいた富士通Japan株式会社、キハラ株式会社、また、オリジナルの木製トロフィーをご提供いただいた株式会社内田洋行の3企業には、今年度も引き続きご協賛をいただけました。感謝申し上げます。

今年度の第一次選考には、選考委員による推薦と一般公募をあわせて全28機関が推薦されました。書面審査による第一次選考会を経て、そこから11機関が第二次選考会へと進みました。以前から継続的に候補機関として名前が上がっていた機関もあれば、2021年というタイミングだからこそ新たに名前が急浮上してきた機関もあったように感じます。ZoomによるWeb会議によって実施した第二次選考会を経て、ライブラリアンシップ賞として2機関、優秀賞として4機関、特別賞を1機関、合計で7機関を選出しました。最終的に受賞に至ったのは7機関でありますが、第二次選考会に進んだ11機関は、いずれもそれぞれが何らかの突出した活動を行っていることが高く評価されています。惜しくも僅差で最終選考会に進めなかった4機関も含まれますが、第二次選考会での選考対象になった11機関は、いずれも2021年のLibrary of the Year 2021にふさわしい取組みとして、それぞれが高く評価されています。

今年度も図書館総合展自体がオンライン開催となったため、Library of the Year最終選考会もZoomウェビナーを用いて開催しました。途中にマイクやカメラのトラブルが多少ございましたが、昨年度の経験を活かすことができたため、比較的スムーズに運営を進められたと思います。最終選考会には、登壇者や運営関係者も含め、述べ95名の方にご参加いただきました。2021年12月31日まで動画アーカイブをYouTubeで公開しておりますが、こちらは現時点(2021年12月28日現在)で282回の視聴回数があり、多くの皆さまにご関心を持っていただいていることが確認できます。

長期的な活動を評価するライブラリアンシップ賞には、「滝川市立図書館」「マンガ『夜明けの図書館』および関係者」の2機関が選ばれました。

「滝川市立図書館」は、授賞理由に「図書館と町が互いを支えあう関係を実現」とあるように、地域内のさまざまな機関との連携が評価されました。「行動する図書館」というキャッチコピーがとても印象的な図書館であり、第二次選考会でもライブラリアンシップ賞として推す選考委員が数名出てきました。2019年にも候補機関の一つとして名前が上がっておりましたが、満を持しての受賞となりました。

「マンガ『夜明けの図書館』および関係者」についても、ほぼ満票に近い形で多くの選考委員がライブラリアンシップ賞に推してきました。10年間にわたる制作活動によって、図書館サービスの姿がマンガという表現で描かれたことの意義はとても大きいと思います。品切れとなっていた既刊ですが、今回の受賞によりLibrary of the Year仕様の帯に変更されて増刷となりました。

また、今年度は特別賞として「八戸ブックセンター」を選出しました。昨年度も候補機関として第二次選考会に名前が上がっておりましたが、「本のある暮らしの拠点」という理念のもとに、「本好きを増やす」というコンセプトを前面に押し出したほかに類を見ない特色ある活動は、Library of the Yearにふさわしい取組みだと思います。

優秀賞を受賞した4機関には、最終選考会でのプレゼンテーションに加え、オーディエンス賞のための事前のPR資料の提出をお願いしました。最終選考会の日程に合わせるため、オーディエンス賞のための資料の準備期間は短いものとなってしまい、各受賞機関にはやや過剰な作業のご負担をお願いすることになってしまいました。ご対応をいただいた各受賞機関の関係者のみなさまには、この場を借りて改めてお礼を申し上げます。

最終選考会のプレゼンテーションは、どの機関もさまざまな工夫を凝らしていることを感じました。この2年ほどの間に、オンライン開催のイベントがすっかり定着したことを感じさせてくれます。2016年以降のLibrary of the Yearでは、プレゼンターの役目を誰が担うのかを各受賞機関にお任せしているため、最終選考会の当日にどのような方が登場するのかは、主催している私たちも楽しみにしているところになっています。今年度はどの機関も持ち時間の8分間をほぼぴったりでプレゼンを終えており、受賞機関のプレゼン能力の高さを感じさせてくれました。それぞれが優秀賞受賞機関の名に恥じない堂々とした発表だったと思います。

最終選考会の審査員5名については、主催者にて人選を行っていますが、今年度は「多様な分野から選ぶ」「世代バランスを考慮して選ぶ」「男女比を考慮して選ぶ」「ライブラリアンを少なくとも1名選ぶ」という条件を強く念頭に置きました。特にライブラリアンとして審査員をお願いされる立場は、同じ業界関係者であるがゆえに、優秀賞4機関に順位をつけづらい立場にいる悩ましいお役目だったと思います。今年度については、過去のLibrary of the Yearの受賞機関の当事者でもある大阪市立中央図書館の澤谷晃子さんに、ライブラリアンの立場からの審査員をお願いしました。また、過去のLibrary of the Yearでもその前年の大賞受賞機関の方に審査員を依頼することも多かったのですが、こちらも「みんなで翻刻」の橋本雄太さんに快くお引き受けいただきました。審査される側から審査する側へというつながりがLibrary of the Yearの特徴の一つでもあると思います。そして大野希さんには福祉の立場から、清水義次さんにはまちづくりの立場から、藤生京子さんにはマスメディアの立場からのコメントを期待し、審査員をお願いしました。審査員の皆さまには、あらかじめ「自らの審査のポイント/評価基準はどのようなものか」「その基準を今回の優秀賞受賞機関に照らし合わせたらどのように特徴が見えたのか」を言語化していただくことをお願いしました。Library of the Yearという賞の特徴は、「良い図書館を良いと言う」というプロセスをさまざまな立場の人たちによって積み重ねていくことにあります。

なお、今年度より最終選考会での審査方法に変更を加えました。昨年までは審査員がそれぞれ1票のみをいずれかの機関に投じるという方法(審査員5名なので最大で5票)になっておりましたが、今年度からは審査員全員がすべての優秀賞受賞機関に順位をつけるようにしました(1位機関に4点、2位機関に3点、3位機関に2点、4位機関に1点)。5名の審査員の点数を合計するので、最大で20点/最低が5点を獲得することになります。とはいえ、既に第二次選考会を通過した優秀賞受賞機関はいずれもすばらしい活動をしていることはわかりますし、5名の審査員もそれぞれの立場が異なりますので、どこかの1機関に得点が偏ることはないだろうと予想はしていました。この点はLibrary of the Yearが16回目を迎えるにあたっての大きな変更点であり、審査の仕組みを考えている私たち主催者としてもチャレンジした部分となります。

結果としては、大賞受賞機関は合計で15点を獲得した「指宿市立図書館および特定非営利活動法人本と人とをつなぐ「そらまめの会」」に決定しました。獲得した15点の内訳を公表しますと、【4点・4点・4点・2点・1点】となります。3名の審査員から1位票を獲得したことでほかの機関を抑える形になりました。それでも4位票の1点を入れた審査員も含まれますので、審査員からの評価というのが実に多様な観点で行われていることがわかります。

参考までに他機関の得点についても公表します。ただし、2位以下については機関名と一致しないように、A機関・B機関・C機関と表示します。これは「優秀賞を取った時点で4機関すべてがすばらしい活動をしている」ことを強調したいためで、大賞受賞機関のみが突出した印象になってしまうことを避けたいためです。便宜的に点数をつけて大賞を選びましたが、優秀賞4機関の取組みに差はないというのが私たち主催者側の見解です。

A機関:13点 内訳は【4点・4点・3点・1点・1点】

B機関:13点 内訳は【3点・3点・3点・2点・2点】

C機関:9点 内訳は【3点・2点・2点・1点・1点】

A機関とB機関は同じ13点を獲得しましたが、その内訳が異なります。A機関は2名から1位票を獲得しましたが、4位票も2名から投じられています。一方、B機関は2位票と3位票を安定して獲得しており、4位票はどの審査員からも入りませんでした。今回は新方式を適用した最初のLibrary of the Yearとなりましたが、結果としては2位と2点差での大賞決定という接戦となっており、事前の予想通りにうまくいったものと評価できたのではないかと思います。

過去のLibrary of the Yearの評価方法の場合、「ひとつの機関にしか票(点)を入れられないため、0票(点)の機関が生じる」「甲乙つけがたい二つの機関があった場合、従来では審査員がどちらかに投票するのかを悩みながら選んでいた(1票しかないために泣く泣く投票できない機関が出てしまっていた)」という状況になっていました。今年度のような方式の場合、順位づけに多少は悩むことはあったかもしれませんが、どの機関にも点を入れられることで、1機関だけを選ぶよりは気分的には評価が楽になった部分が多いのではないかと思います。

優秀賞を受賞した「福井県立図書館・文書館・ふるさと文学館」は、授賞理由として「3館協働」が強調されました。施設(ハード)の一体化と県の施策推進とリンクさせたさまざまなサービス(ソフト)の提供など、2019年策定の「福井県職員クレド」に沿う形で、それぞれの得意分野を協働によって活かしていく仕組みづくりと工夫が見られました。

同じく優秀賞の「三重県立津高等学校図書館」は、Library of the Year史上で2例目(ライブラリアンシップ賞を含めると3例目)となる学校図書館の受賞となりました。「時代に即応し、読書と学びの機会を保障する」という授賞理由のとおり、さまざまな人たちが学校図書館に集い・学び合い・育っていく様子が伝わってきます。9年前のLibrary of the Year 2012(三重県立図書館が優秀賞)から話をつなげたプレゼン冒頭の展開も見事でした。

オーディエンス賞も併せて受賞したのは「あかし市民図書館」となりました。明石市は施策として「子育てしやすいまち」を推し進め、子育て支援で注目されている自治体として有名ですが、プレゼンのなかでも紹介された「絵本の宅配便」などの取組みとそれに対する市民からの声には、子育て世代へと寄り添っていく姿勢が現れていたと思います。

そして今年度の大賞受賞機関は、「指宿市立図書館および特定非営利活動法人本と人とをつなぐ「そらまめの会」」と決定しました。2016年に「指宿市立図書館」として、2017年に「そらまめの会」として候補機関に名前が上がっておりましたが、今回は両者を併せる形で受賞となりました。さまざまな立場にいる市民の声を集めたプレゼンをされていたのが印象的で、長年にわたる活動の蓄積にも説得力を感じさせてくれました。授賞理由でも市民とともに歩み・学ぶ姿勢を強調しているように、「市民NPOによる指定管理の持続モデル」を示した点は、これからの図書館を考える上で参考になるところがありました。

今年度のLibrary of the Yearの事業は、6月から12月までの7か月間にわたり、お忙しいなか選考作業にあたっていただいた13名の選考委員の方々、最終選考会の審査員として快くご登壇をいただいた5名の方々、プレゼンテーションをしてくださった各受賞機関の方々、協賛企業の方々、ボランティアとして運営にご協力してくださった方々、多くの方々のお力で開催することができました。最終選考会にご参加くださったみなさまも含めて、この場を借りて感謝を申し上げます。なお、今年度のLibrary of the Year 2021より、山崎博樹氏(LoY2016〜2020年の選考委員長)より引き継ぎ、私・岡野裕行が選考委員長を務めましたことを併せてご報告いたします。

来年度にはLibrary of the Year 2022を引き続き開催したいと考えております。最終選考会の1週間前に刊行した『ライブラリー・リソース・ガイド』第37号の特集「いま、Library of the Yearと向き合う」のなかで、私は以下のような文章を書きました。

あなたの口から発せられる「良い」という言葉は、きっとどこかの誰かの心を動かし、“新しい社会にふさわしい図書館”の創造へとつながっていく原動力となるだろう。私たち一人ひとりが「良い」ものを探し出し、「良い」と言い切ってみるそのひと言が、未来の図書館をつくり出す強い力になっていくだろう。あなたの言葉はまるで魔法のように、私たちの図書館も、私たちの本も、私たちの知識も、私たちの暮らしも、より良い方向へと導いていってくれることだろう。新しい図書館の姿は、あなたの発する「良い」というそのひと言から始まる。

Library of the Yearという事業によって、引き続きみなさまとともにさらなる新しい言葉を探してみたいと思います。

●受賞機関コメント

○Library of the Year 2021 ライブラリアンシップ賞

滝川市立図書館

滝川市立図書館一同

この度は、Library of the Year 2021において、「ライブラリアンシップ賞」を賜り、誠にありがとうございます。関係する皆様をはじめ、地域の皆様、これまで滝川市立図書館に関わっていただいた全ての方々に心より感謝を申し上げます。

滝川市は北海道のほぼ中央に位置しており、町の中心部にある市役所庁舎に移転をして10年が経過しました。中心市街地の回遊性を高めることを移転の目的の一つとしていたため、開館当初から従来の図書館サービスだけではない役割を求められてきました。

「行政連携」では、パブリックコメントや行政情報コーナーの設置、議会図書室の図書館内への移転のほか、200件を超える連携展示を行っています。行政と市民を結ぶツールを図書館が担うことで、市役所が身近な場所となり、行政サービスの向上が図られてきたことを実感しています。

「まちなかコンシェルジュ」では、100件を超えるお店や団体をご紹介させていただき、展示終了後はポスターを業種別にファイリングして、まちの情報事典として活用させていただき、市民のくらしに役立つ情報の提供やまちなかへ足を運んでいただくきっかけづくりをしています。

「雑誌ささえ隊」では、企業や団体・個人に購入雑誌の半数以上をささえていただいており、隊員を発掘してくださる応援団長もいらっしゃって図書館の大変心強い味方となってくれています。また、ご寄付やご協賛をいただくなど、色々な形で地域の皆様や連携先から応援していただいています。

今回の受賞はまちと図書館が相互にささえ合ってきたことをご評価いただきました。受賞のお知らせを、沢山の方が自分のことのように一緒に喜んでくださり、地域の方々と共にいただいた賞だと改めて感謝をしております。今後もまちを元気にするために図書館は何ができるのかを考え、地域に愛され、共に歩む図書館を目指して精進してまいります。この度は誠にありがとうございました。

マンガ『夜明けの図書館』および関係者

埜納タオ、増尾徹(双葉社)

この度は「Library of the Year 2021」ライブラリアンシップ賞に選出いただき、ありがとうございます。

「夜明けの図書館」は、協力者の吉田倫子さんをはじめ、担当編集者、そして様々な図書館関係者の方のお力添えをいただき、10年もの間、連載を続けることができました。ひとつのテーマに、じっくり腰を据えて描くことができ、漫画家として恵まれた環境であったと、今振り返って改めて感じています。ご協力いただいたすべての方に、心より感謝申し上げます。

この漫画を描きながら、私自身レファレンス・サービスの面白さ、全く知らなかった図書館業務の奥深さに触れることができました。漫画は完結しましたが、この先も、「夜明けの図書館」を通して、多くの読者の方に、図書館の魅力が伝わることを願っています。(埜納タオ)

 

この度は、ライブラリアンシップ賞に選出いただき、心より感謝申し上げます。

新米司書・葵ひなこが活躍する「夜明けの図書館」は、2010年11月、双葉社『ジュールすてきな主婦たち』12月号でシリーズ連載が始まり、4話分をまとめて2011年10月に単行本第1巻が刊行。私は、そのあとに引き継いだ二代目の担当編集者になります。第1巻は、反響が続々と寄せられ、本や雑誌・新聞の書評等で取り上げられ、重版が続き多くの読者に恵まれました。何より「レファレンス・サービス」に着目した、新鮮味と驚きがあったのだと思います。この第1巻刊行のあと、担当替えのタイミング、第2巻収録分から吉田倫子さんに相談や助言をしていただけることになりました。作品内容の拡がり、リアリティに非常に貢献していただきました。

この賞を賜ったのは、この図書館漫画が「レファレンス・サービス」に光を当てたこと、図書館の様々なトピックスを取り上げたこと、そして10年間連載したことを評価していただいたのだと、勝手ながら理解しております。

この作品は、漫画家・埜納先生が、非常に丁寧に、深い事柄まで調べて作ったものです。この先何十年も読み継がれ、ロングセラーになり、図書館界を目指す方々、図書館関係の皆様に定番化していければ幸いです。(双葉社・増尾徹)

○Library of the Year 2021 優秀賞および大賞

指宿市立図書館および特定非営利活動法人本と人とをつなぐ「そらまめの会」

指宿市立図書館および特定非営利活動法人本と人とをつなぐ「そらまめの会」一同

この度は、Library of the Year 2021の大賞をいただき、ありがとうございます。賞に選出していただいた審査員のみなさま、そして、私たちの活動を理解し、支えてくださったみなさま、インターネットの先で支援してくださった多くの皆様に心より感謝申し上げます。

特定非営利活動法人本と人とをつなぐ「そらまめの会」は、2006年に発足し、今年、15年目を迎えます。この会は、広く市民に対し、図書館を活動拠点として本に関心を持つ個人や団体等と連携を図りながら交流と学習の機会をつくり、良好な読書環境作り及び地域文化の継承に努めることにより、子どもを育てやすい地域社会の形成に寄与することを目的として発足しました。15年目の節目である年にこのような賞をいただいたことは、コツコツと積みかさねてきたこれまでの当団体への大きなご褒美となりました。

最初の3年はあっという間に過ぎ、2期目には、市の協力により指宿図書館の電算化と山川図書館とのオンライン化、学校図書館から公共図書館の蔵書が検索できる端末の設置、学校との連携、図書館との回送便などが実現しました。また、子育て支援のための備品購入を進め、障害者への合理的配慮も進めることができました。3期目は、指宿市と連携を組みながら指宿市シビックカフェ事業により、市民とのより多くの関わりを持つことができました。また、ブックスタート、読書通帳を開始し、市役所各課やまちの施設との連携事業も増えました。NPOとしてブックカフェ号稼働のためのクラウドファンディングにも挑戦し、無事、達成しました。4期目は指宿図書館の大規模な空調機改修工事(照明のLED化・紫外線フィルム含む)や手話による利用案内の動画作成、第6回と7回の図書館レファレンス大賞、そしてLibrary of the Year 2021の大賞と目まぐるしく過ぎていきました。

今後も課題は出てくるとは思いますが、市民と共に、行政の方々と共に、できる環境の中でベストを尽くせるように頑張っていきたいと思います。

これからも、図書館がまちの宝であるように。

最後になりましたが、Library of the Yearの益々の発展をお祈り申し上げます。

○Library of the Year 2021 優秀賞およびオーディエンス賞

あかし市民図書館

あかし市民図書館一同

このたびは、Library of the Year2021の優秀賞およびオーディエンス賞をいただき、誠にありがとうございます。また、日頃からあかし市民図書館を利用してくださっている皆様、オンライン投票してくださった皆様、関係する皆様方に心よりお礼申し上げます。

あかし市民図書館は、2017年1月に明石駅前の再開発ビル内に移転・リニューアルオープンしました。「本のまち明石」の拠点として、開館時間を夜9時まで拡大し、蔵書も約2倍、座席数も約3倍になるなど、図書館としての機能が充実したことで、年間約90万人の来館者が訪れます。

また「子育てしやすいまち明石」の実現のため、ブックスタートやブックセカンドなどの子育て支援サービスを実施。「誰にでもやさしいまち明石」実現のため、ユニバーサル資料の充実や、読書支援機器の設置、図書宅配サービスなど読書バリアフリーの取組みについても積極的に進めております。

昨年、コロナ感染拡大防止のためやむなく臨時休館した期間に実施した「絵本の宅配便」は、官民協働による子育て支援を象徴する取組みとなりました。各家庭への宅配は図書館員の力だけでは限界があり、市職員と共に取り組んだからこそ実現したサービスでした。図書館員と市職員ドライバーがペアになり、750件、3,742冊の絵本を市内の未就学児の家庭へお届けに行きました。外出自粛でお出かけできない子どもたちが絵本の到着をとても喜んでくれ、お礼の手紙が117件も届きました。手紙を介して温かい交流ができたことが大きな財産になりました。

その後も、あかし市民図書館では、保護者に図書館でゆっくり過ごせる時間を提供するために、保育士によるリトミック・育児相談、子どもの一時預かりを実施するなど、子育て中の保護者をサポートしています。

これからも、あかし市民図書館は、官民連携の強みを生かし、いつでもどこでもだれでも手を伸ばせば本に届くまちの拡充に向け、チャレンジを続けてまいります。

このたびは誠にありがとうございました。

○Library of the Year 2021 優秀賞

福井県立図書館・文書館・ふるさと文学館

福井県立図書館・文書館・ふるさと文学館一同

この度は、Library of the Year 2021において優秀賞をいただき、誠にありがとうございます。利用してくださっている県民の皆様、また、当館の運営にご協力いただいている関係者の皆様方に心より感謝を申し上げます。スタッフ一同、大変喜んでおります。

当館は、2003年に図書館が現在地へ移転、同時に新しく文書館を併設し、オープンしました。2015年には図書館内にふるさと文学館を開設しました。県立図書館は、県民のニーズに迅速かつ的確に対応し、仕事や生活、地域の課題解決を支援する「地域と県民の役に立つ図書館」を目指して、福井の公文書や古文書など貴重資料を収集保存する文書館、福井の文学を継承し交流するふるさと文学館と連携しながら、活動を進めています。

本選考会では、この3館の協力・連携による様々な企画に加え、図書館のレファレンス力や認知度向上を目指した「覚え違いタイトル集」や「デジタルアーカイブ福井」、学校への支援等、市民感覚を意識した運営などを高く評価していただきました。

当館は、同じ施設に司書、アーキビスト、学芸員が揃っている珍しい施設だと思っております。それぞれの専門分野を生かし、各館の活動がプラスになるような連携を意識しながら、目標に向けて活動を進めています。また、幅広い情報の提供や、一人でも多くの方に利用していただくためには、館内だけでなく、外部の方々との連携も非常に重要です。これまでにも市町や大学・学校のほか、ビジネス、法律、医療などの分野の方々との連携を進めていますが、さらにその輪を広げていきたいと考えております。

当館はもうすぐ移転後の来館1000万人を達成予定であり、また、来年度は移転開館20周年を迎えます。受賞を励みに、さらに進化していけるよう、今後も引き続き努力してまいります。

最後になりましたが、審査委員をはじめ本賞に携わられた関係者の皆様に厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。

三重県立津高等学校図書館

三重県立津高等学校 教職員一同

この度は、Library of the Year 2021優秀賞をいただき、誠にありがとうございます。賞に選出いただいた関係者の皆様に心より感謝いたします。また、日頃より本校の教育活動にご理解とご協力をいただいている保護者の皆様方に、御礼申し上げます。

三重県立津高等学校は、2021年度に創立141周年を迎えました。本校から巣立った同窓生の方々(その中には母校である本校で教壇に立つ者もいます)は、常日頃「津高らしさ」という言葉を口にします。連綿と受け継がれてきた「自主・自律」の校風と「育みたい生徒像」。こうした本校のミッションに対して、学校図書館としてどんなサポートが可能なのか、手探りで進んできた活動を評価いただき、大変嬉しく思っています。何より嬉しかったのは、優秀賞受賞を知った本校生徒の皆さんから「応援しています」「大賞獲ってください」「自慢の図書館です」と言ってもらえたことです。進んできた方向は間違っていなかったと感じることができました。

学校図書館は、予算面・人員面で学校の中で大きな部署とは言えません。そんな図書館に「津高とは何か」「生徒に求められているものは何か」「図書館でそれを実現するには何が必要か」を助言・示唆してくれたのは、校内外の様々な方々です。その方々がいなければ、本校図書館の活動は何も進んでいなかったことでしょう。今回いただいた優秀賞は、本校の教職員全員はもとより、これまで連携いただいた関係者の方々全員に対していただいたものだと受け止めています。今後とも生徒の皆さんの成長のため、本や人、場を提供し「種」を蒔いていきます。引き続き、皆様のご支援・ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

最後になりましたが、Library of the Yearのますますの発展をお祈りいたします。この度は誠にありがとうございました。

Library of the Year 2021 特別賞

八戸ブックセンター

八戸ブックセンター一同

このたびは、Library of the Year 2021の特別賞をいただき、誠にありがとうございます。関係者の皆様方に心より感謝を申し上げます。 

八戸ブックセンターは、2016年12月に開館した、全国でも例のない「市営の書店」です。 

全国的な傾向として、民間書店の数は減少していますが、そうした書店の減少に加え、特に地方の書店においては、海外文学や人文・社会科学、自然科学、芸術などの分野について、採算面から積極的に取り扱いにくいのが現状となっています。 

これらの本は、知的好奇心を刺激し、読書の幅を広げるきっかけとなるなど、個人の創造性や市民の文化力の向上に寄与するものと考えますが、地方において、これらの本に「出会える場所」を守っていくことは、公共の役割であるとの考えのもと、開設したのが八戸ブックセンターです。 

本を買い、私有して読むことも大切であるという思いのもと、市内書店ではこれまで手に触れる機会が少なかった本に出会える場所として、また、提案・編集型の陳列により、本との偶然の出会いを創出することを心がけています。 

また、図書館や民間書店、学校などと連携を図りながら、作家を招いてのトークイベントやワークショップ、ギャラリー展など、様々な企画事業も実施しています。 

このように、八戸ブックセンターは、特徴ある選書棚や企画事業を通して「本」にまつわる新しい公共サービスを提供する「本のまち八戸」の拠点施設です。 

開館からまもなく5年が経ち、コロナによる影響があるものの、市民はもちろんのこと、出張者や観光客に立ち寄っていただき、高い評価をいただいおりますが、そのような中での今回の受賞は私どもにとって、今後の運営への大きな励みとなっております。 

今後も、本に関わる皆様と共に、八戸ブックセンターを運営しながら「本のまち八戸」を推進してまいりますので、是非、青森県八戸市に、そして、八戸ブックセンターにお越しいただくよう、心よりお待ちしております。