Library of the Year 2016 選考委員長と受賞機関のコメント


 

■オーディエンス賞・優秀賞受賞のコメント

「東京学芸大学学校図書館運営専門委員会」

・東京学芸大学学校図書館運営委員会委員長 山崎幸一

 ライブラリーオブザイヤー2016の優秀賞、オーディエンス賞をいただきましたこと、心より感謝申し上げます。東京学芸大学学校図書館運営専門委員会は日頃、附属学校の司書と司書教諭が中心となり、学校図書館データベースの運営のほか、学校図書館を活用した授業実践、学校司書の研修のあり方等についての研究を進めております。同じ都内でも小金井・世田谷・大泉・竹早・東久留米といった、離れた地区の学校園の司書・司書教諭が集まっての活動は、けっして容易なことではございませんが、そのような状況で長年、地道に継続してきた成果を今回、お認めいただけたのではないかと思っております。
今後も全国の皆様方からの本委員会へのご指導・ご助言、よろしくお願い申し上げます。最後になりますが今回、会場でのプレゼンテーションでご尽力いただきました、白百合女子大学の今井福司先生に厚く御礼申し上げます。

・東京学芸大学附属図書館 小野 亘

 この度は、優秀賞,オーディエンス賞をいただくことができ、ありがとうございます。大学附属図書館として、これからも学校図書館運営専門委員会の一員として、学校図書館をひらき、つなぎ、そだてるお手伝いを、ささやかながらできればと思っています。

・東京学芸大学附属世田谷中学校司書教諭 桒原智美

 この度は、優秀賞,オーディエンス賞をいただくことができ、ありがとうございます。これまで、学校司書と一緒に司書教諭として学校図書館について皆で考えてまいりました。日常の授業をはじめ、教育実習生の授業や、公開研究会などにおいても、学校図書館を活用する場をもつことを実践してきたことが、このような形で評価されたことを大変嬉しく思います。これも幼稚園・小学校・中学校・高校・特別支援学校・大学の図書館と皆で協力することができたからだと考えます。
東京学芸大学としてのデータベースには、本学の附属学校をはじめ、全国からご提供いただいた指導案やワークシートが公開されています。全国の学校の授業でより多くの学校図書館が活用され、子どもや生徒たちにとって実りの多い授業がさらに広がっていくことを祈願いたします。これからも皆で協力して、この活動を続け、若い世代へとつないでいけたら幸せです。

・東京学芸大学附属学校司書一同

 このたびは、ライブラリーオブザイヤー2016の優秀賞・ならびにオーディエンス賞を賜り、光栄に存じます。ありがとうございました。特に、2009年より文部科学省の学校図書館活性化推進総合事業を受けて始動した「先生のための授業に役立つ学校図書館データベース」(http://www.u-gakugei.ac.jp/~schoolib/htdocs/)の継続的運営に対する評価がいただけたことをなによりうれしく思います。その立ち上げから、今日まで関わり、私たちを応援、協力してくださった多くの皆さまに、心より御礼申し上げます。
今回の受賞によって「先生のための授業に役立つ学校図書館活用データベース」が、公共図書館・大学図書館・図書館にかかわる様々な皆様にその存在を広く知っていただけたことは、大きな喜びです。
 事例をつくることは授業者と学校図書館のよき振り返りができるコミュニケーションの機会ともなっております。授業事例のみならず「今月の学校図書館」「学校図書館の日常」など毎月更新される活動情報とともに、読書リテラシー・情報リテラシーに関わる事例やインタビュー記事、ちょっとしたお役立ち情報「GAKUMOのひみつ」など、全国のどの学校からでも事例の応募ができ、また閲覧可能です。毎月お送りするメールマガジンやSNSでも発信しています。誰でもが参加して集える「WEBの広場」です。全国の学校図書館活用を図るみなさまと共に学び、つながり、明日の学校図書館をひらいてまいりたいと思います。
 また、事前投票、当日の会場の皆様の支持によって頂いたオーディエンス賞は、院生時代からデータベースを応援してくださった白百合女子大学の今井福司先生による熱いプレゼンテーションや、愛すべきマスコットキャラクター「GAKUMO」の力も大きかったと思います。今井先生とプレゼンテーションをつくる中で浮かび上がってきたキーワード「ひらく・つなぐ・そだてる」は私たちのすべての活動を的確に表現したものでした。今後もこの言葉を大切にし、息の長い活動を続けていきたいと思っています。

・プレゼンター(白百合女子大学基礎教育センター) 今井福司

 この度は優秀賞に加えて,オーディエンス賞まで頂戴することができました。お越し頂いて応援して頂いた方だけでなく,READYFORで事前にご支援頂いた方,Web上で応援して下さった方,そして陰で支えて下さったすべての方のご支持があってのことだと思います。深く感謝申し上げます。本プレゼンテーションは私が代表して発表いたしましたが,スライドそのものや当日の発表は,東京学芸大学学校図書館運営専門委員会の皆さまの著作です(そのため,スライドは記名しておりません)。
 今後とも東京学芸大学学校図書館運営専門委員会を見守って頂き,ご支援頂ければ発表者としてこれ以上の幸いはありません。有り難うございました。

※プレゼンの模様とオーディエンス賞表彰式の写真


 

■優秀賞受賞のコメント

「オガールプロジェクトと一体での紫波町図書館」

紫波町図書館 館長 工藤巧

 紫波町図書館は、開館4周年のまだまだ未熟な図書館です。それが賞をいただくとは、想像もできませんでした。受賞理由は、「オガールプロジェクトと一体での紫波町図書館」と言うことでした。地方創生の例として、公民連携(PPP)が、各種メディアに採り上げられたことが大きいものと思います。
 私たち図書館員は、基本的な図書館サービスの充実を図るとともに、まちづくりのために、何をするべきかをつねに考えてきました。そして、まちづくりのために誰かと、何かと連携し、連携するために、人と情報、人と人をつなぐことが大切であると考えました。まちづくりとは人づくりに他なりません。そして、それを支えるのは、プライドを持ってサービスする司書です。皆、図書館の立上げは初めての経験でしたが、試行錯誤を繰り返しながら、少しは前進できているかなと思います。
 受賞を契機に、より一層市民の生活に染み込んだ図書館を目指します。
 どうぞ皆さん、紫波町に、オガールに、おでってくなんせ!!!
ありがとうございます。

※プレゼンの模様と優秀賞表彰式の写真

 

「大阪産業労働資料館(エル・ライブラリー)

「大阪産業労働資料館(エル・ライブラリー) 館長 谷合佳代子

 このたびは当エル・ライブラリーに優秀賞をお授けいただき、ありがとうございました。
エル・ライブラリーは「大阪産業労働資料館」という正式名称にあるように、労働関係の専門図書館であり、博物館であり、文書館でもあります。大阪100年の社会労働運動の歴史資料を所蔵する資料館であると同時に、最新の労働労務情報を収集するライブラリーです。労働専門とはいいながら、収集主題は幅広く、市民活動の記録も積極的に集めています。

 今回、「日本で最もMLA融合を実践するライブラリー」という推薦の言葉をいただいたように、当館は資料種別に垣根をつくらない図書館です。と同時に、この図書館が大学の中に設置されているのではなく、交通至便な大阪の都心部に位置して、一般市民に開かれていることに意味があります。
 ここにしかない貴重な一次資料に市民が直に触れることができ、当館がそれを活用して講座を開講しているということが、私立の公共図書館としての役割を果たしている証左であると自負しています。
 そもそもエル・ライブラリーは、大阪府・市の補助金を全廃され、受託運営していた図書館を年度途中で廃止されたことから生まれた図書館です。2008年、利用実績の成果を生んだ大阪府の労働図書館を、「橋下改革」により廃止されてしまいました。民間活力の効果を出した図書館でしたが、当法人は年間予算の7割を失うこととなりました。極端な財政危機からエル・ライブラリーは出発しました。役職員が身銭を切り、全国の支援者がカンパを寄せ、労働組合が寄付を負担してここまでの8年間、どうにか運営を続けてきました。つまり、「支えられる図書館」なのです。

 その間、歴史資料の保存だけではなく、それらを活用するためのさまざまなデータベース公開を行ってきました。市民活動の拠点としても地域や図書館コミュニティにライブラリーそのものを開いてきました。saveMLAK(東日本震災復興支援プロジェクト)の毎月の会議の場所として当館を提供し、スタッフが会計係としてボランティア活動を続けてきました。いくつもの持ち込み企画イベントも開催してきました。
 中小企業の町大阪の労働者福祉のために、最新の情報を提供し、社員研修用DVDの貸し出し等の実績も築いてきました。そう、市民活動や労働者福祉を「支える図書館」でもあるのです。
 そのような「支えあう社会をめざす」図書館、「働く人々の歴史を伝え、<今>を支える」図書館を評価していただき、感謝にたえません、
 表彰式に館長が出席するために、留守を守ってくれた館長補佐・千本沢子を始めとしたスタッフに心から感謝します。当館は館長と館長補佐しか窓口係がいない小さな図書館です。いつでも館長不在の現場を仕切ってくれている館長補佐・千本に心からの感謝を。非常勤スタッフ、ボランティアスタッフのみなに言葉に尽くせない感謝をささげます。
 Library of the Yearに当館を推薦してくださった 井上昌彦さん、いつも広報大臣を買って出てくださってありがとうございます。
 エル・ライブラリーを支援してくださるすべてのサポーターに心からのありがとうを送ります。
 受賞されたすべての館が素晴らしく、どこもが大賞をとっても不思議ではないほどでした。

 市民とともに、市民のために、市民が支える図書館。

 未来を支えるこどもたちのために頑張る学校図書館。

 いずれにも心からの拍手と敬意を送ります。

 大賞館の伊丹市立図書館さん、おめでとうございます! 受賞挨拶のとき、園長が感極まって言葉に詰まっておられる様子を拝見してもらい泣きしました。
今回、わたしは Library of the Year の選考委員でもありました。選考委員として述べたいことがあります。
図書館運営は競争ではありません。
来館者数や貸し出し冊数を競うのではなく、図書館界全体で底上げを図っていきましょう。
  そのためにお互い褒めあい励ましあうのがLibrary of the Yearです。一等賞を競うのではなく、頑張っている図書館の新しい取り組みや面白い方法を褒めて、それをみなで見習っていこうというものです。
 構造不況業種の図書館界がみなで頑張らねば、10年後20年後の日本の知的インフラは危ういのです。アメリカ大統領選挙でトランプ氏が選ばれたように、いま、反知性主義が跋扈していることが見て取れます。これをとどめるのが図書館員の使命です。
そのためにみなで支え合い励ましあってともに頑張りましょう。

※プレゼンの模様と優秀賞表彰式の写真