Library of the Year (LoY) 2017 優秀賞・ライブラリアンシップ賞の決定について

IRIメンバーおよび外部推薦で寄せられた40施設・団体・サービスの中から第1次選考会、第2次選考会を経て、次の3機関がLoY2017優秀賞、2機関がライブラリアンシップ賞を受賞しました。
一次選考会の結果


LoY2017優秀賞

従来の図書館イメージを覆す図書館サービスを提供し、これからの図書館のあり方を示唆するような先進的な活動を行っている機関を評価するものです。
(以下、順不同)

LoY2017優秀賞:20年間継続されてきた地域資料のデジタルアーカイブ事業と将来に向けた取り組み

受賞機関:大阪市立中央図書館

  • 授賞理由:
     20年間継続されてきた地域資料のデジタル化と公開と今後のビジョンを示したことを評価。
  • 授賞詳細:
     大阪市立中央図書館は平成8年度より貴重資料のデジタル化と館内公開を開始し、平成13年度からはWebでの一般公開を行っている。20年間の館員の地道な作業の結果として公開されているその資料点数は、現在公開されているだけでも約2万8千点にのぼる。
     デジタル化機材・ICTの急激な進歩、権利の在り方に対する社会的変化が大きい中、館員が技術的スキルアップの努力や権利処理を行ない、その取り組みを館員が共有・伝承し、組織として継続してきた。また、地域資料デジタルアーカイブ事業を昨年度大阪市が打ち出した「ICT戦略」の重要な一翼を担うものとして位置付けようと努力していることも称賛に値する。

http://www.oml.city.osaka.lg.jp/

LoY2017優秀賞:市民と行政が育てる もちより・みつけ・わけあう広場としての図書館

受賞機関:瀬戸内市民図書館もみわ広場

  • 授賞理由:
     6年間に及ぶ的確な図書館整備プロセスとこれからの図書館サービスのモデルを示したことを評価
  • 授賞詳細:
     同館は平成大合併による3町から1市への移行を経て2016年に開館した。2010年の現市長の選挙公約に基づく整備推進を皮切りとして、2011年の準備室長の採用、同年からの移動図書館サービスの実施、市民参加を重視した図書館整備等、整備プロセスの適切さや的確さは今後の図書館整備の模範となるものでその点を特に評価する。なお、6年に及ぶ着実な過程を経て開館した後は日本全国から連日視察・見学者を集めており、テーマ配架やMLAK連携、職員体制等はこれからの公立図書館サービスのモデルの一つと言える。

https://lib.city.setouchi.lg.jp/

LoY2017優秀賞:地域情報資源を活用した公共情報資産の共創活動

受賞活動・受賞者:ウィキペディアタウン(各地でウィキペディアタウンを企画実施したみなさんとこれをサポートしたウィキペディアンのみなさん)

  • 授賞理由:
     MALUI(博物館・美術館・公文書館・図書館・大学)の資料等、地域情報資産を活用し、新たな地域情報資産を共知・共創するプログラムとして急速に拡大している点を評価。
  • 授賞詳細:
     2012年にイギリスで始まり、2013年の国際オープンデータの日に横浜で開催されたことを契機に全国に広まった、地域やテーマ分野を特定してウィキペディアの記事充実を図りオープンにするプログラム。オープンデータ関連コミュニティ、公共図書館、地域社会組織等が主催し、ウィキペディア・コミュニティのアウトリーチ活動としての支援を受けながら展開されてきた。図書館を中心としたMALUI機関が資料や作業環境を提供するプログラムは、これまでに日本全国で約120回開催され、持続的な事業となっている地域もある。まち歩きや図書館等が収蔵する地域情報資産を活用して人々が共に知り、新たな地域情報資産を共に創成するプロセスの楽しさを見える化し、成果物をオープンデータとして広く公開する取り組みとして評価する。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%82%AD%E3%83%9A%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%82%BF%E3%82%A6%E3%83%B3


ライブラリアンシップ賞

長年にわたって地域住民や図書館員が協同し、さまざまな図書館活動を継続的に行った図書館等を称えるための賞です。ここで言うライブラリアンとは、図書館員グループおよび地域住民の総体を示しています。長期にわたって日本を代表する優れた図書館サービスを、館種を超えた図書館や地域住民と共に行ってきたことを評価するものです。
(以下、順不同)

ライブラリアンシップ賞:レファレンスの集積・可視化・公共財化

受賞機関:国立国会図書館レファレンス協同データベース事業とその参加館および協力者

  • 授賞理由:
     あらゆる館種が協力しあって、わが国のレファレンス・サービスの事例を12年以上に渡って集積し、社会に対して可視化・公共財化した意義を評価。
  • 授賞詳細:
     同事業は、国立国会図書館によって立ち上げられて以来、同館を含めてあらゆる館種(750館超)が協力してきたものである。現在までに18万件超のレファレンス事例、1万件超の調べ方マニュアル等を集積し、世界的にも類を見ない事業となった。
     これらの多くは一般公開され、年間アクセス数は4,000万件に達する。図書館だけのものであったレファレンス・サービスを可視化・公共財化した点を高く評価する。なお、本賞は国立国会図書館および本事業にとどまらず、同事業に協力したすべての関係者による長年の尽力と連携を表彰するものである。

https://crd.ndl.go.jp/reference/

ライブラリアンシップ賞:図書館と対になった50年以上に及ぶユーザーグループ活動とその多様な成果

受賞機関:神奈川県資料室研究会(神資研)

  • 授賞理由:
     50年以上の持続可能な活動とその実績に基づいた官民連携的な取り組みの成果を評価。
  • 授賞詳細:
     同研究会は1961年に発足し、50年以上の活動を継続してきた神奈川県、近隣都県内の企業、大学、公共機関等の資料室、図書館、情報部門によって構成される神奈川県立川崎図書館のいうなればユーザーグループ。「科学技術系外国語雑誌デポジット・ライブラリー」のコレクション評価等、川崎図書館の調査・評価の実施や在宅利用文献複写サービスの預託金制度等、県立川崎図書館の機能を最大限に引き出す活動を自主的に継続してきている。また、川崎図書館の存続問題でも一定の役割を果たした点も評価する。

https://saas01.netcommons.net/shinshiken/


<最終選考会について>

LoY2017の最終選考会は、以下の日時場所での開催が予定されております。

■日時:2017年11月8日(水)13時~14時30分
■場所:第19回図書館総合展会場(パシフィコ横浜)

<過去の授賞機関や詳細について>

IRIウェブサイト内“Library of the Year”をご覧ください。
https://www.iri-net.org/loy/

<クラウドファンディングについて>

Library of the Year 2017実施に向けて、クラウドファンディングを活用した資金調達を行っています。
※ご協力をお待ちしています。
「全国の図書館に光を与える「Library of the Year2017」の開催!」
READYFOR(募集期限:2017年10月16日 目標金額:250,000 円)
https://readyfor.jp/projects/LoY2017

<お問い合わせ先>

NPO法人知的資源イニシアティブ事務局
info@iri-net.org