Library of the Year 2016

Library of the Year 2016 最終選考会は終了いたしました。多数のご来場、ありがとうございました。

Library of the Year 2016実施に向けて、クラウドファンディングを活用した資金調達を行いました。多数のご協力、ありがとうございました!
生まれ変わったLibrary of the Yearを盛大に開催したい!

Library of the Year 2016の概要

Library of theYear 2016は、第18回 図書館総合展のNPO法人知的資源イニシアティブ(IRI)が主催・企画・運営するフォーラムとして開催しました。 
2016年11月9日(水)15:30~17:00、パシフィコ横浜(横浜市みなとみらい)にて、LoY2016優秀賞4機関を対象として、一般公開の最終選考会を開催しました。最終選考会では、各機関についてプレゼンテーションを行い、ディスカッションを経て、審査員5名の投票によってLoY2016大賞を決定しました。また、今年から会場参加者(クラウドファンディング事前投票含む)の投票が一番多かった優秀賞対象館に対し、「オーディエンス賞」を授与いたしました。
各賞決定後、LoY2016優秀賞、ライブラリアンシップ賞、LoY2016大賞、オーディエンス賞の受賞機関の表彰式を行いました。 
この最終選考会は、パシフィコ横浜で開催される第18回図書館総合展(2016年11月8日~10日)の一環として行なわれました。
Library of the Year 2016最終選考会の模様(動画)

Library of the Year 2016 プレスリリース(2016/08/25) (PDF:201KB)

Twitterで情報発信中です。http://twitter.com/IRI_LoY


Library of the Year 2016 優秀賞・ライブラリアンシップ賞

IRIメンバーおよび外部推薦で寄せられた53施設・団体・サービスの中から第1次選考会、第2次選考会を経て、下記の4機関がLoY2016優秀賞、2機関がライブラリアンシップ賞を受賞しました。

第1次選考会の結果

LoY2016優秀賞

従来の図書館イメージを覆す図書館サービスを提供し、これからの図書館のあり方を示唆するような先進的な活動を行っている機関を評価するものです。

LoY2016優秀賞 -図書館を中核としたPPPによる地域の活性化-
受賞館: オガールプロジェクトと一体での紫波町図書館

受賞理由:
様々な連携を通じて、地域活性化の中核的な役割として図書館が機能している点を評価。

推薦詳細:
真のPPPといえるオガールプロジェクトで図書館という仕組みに注目し、その期待に応えた図書館職員の働きを評価。農業支援やオガールとの連携により、地域全体を活性化し、全国から視察が絶えない。入館者数も20万人を超えている。 
http://ogal.jp/

LoY2016優秀賞 -斬新な市民発イベントの図書館サービス展開-
受賞館: 伊丹市立図書館ことば蔵

受賞理由:
図書館において、学びや遊びに関する創造的な活動を市民と共に実践している点を評価。

推薦詳細:
「交流フロア運営会議」を設置し、市民と共に企画を実現した。市内書店と協力した「帯ワングランプリ」、地元商店主が講師となる「まちゼミ」、本を使った婚活や本のタイトルだけで作家を目指す企画等、様々なイベントにより来館者も増加し、経済効果を生み出した。 
http://www.city.itami.lg.jp/SOSIKI/EDSHOGAI/EDLIB/

LoY2016優秀賞 -データベースにより学校図書館の知を拓く-
受賞館: 東京学芸大学学校図書館運営専門委員会

受賞理由:
「学校図書館活用データベース」の継続的構築、学校を開き、知の共有の場を創成している点を評価。

推薦詳細:
「先生のための授業に役立つ学校図書館活用データベース」を構築。学校図書館での授業実践事例や実践例等を、収集し公開している。外からは見えにくい学校図書館の活動を、対外的に明らかにしている取り組みを継続して行っている。 
http://www.u-gakugei.ac.jp/~schoolib/htdocs/

LoY2016優秀賞 -コミュニティーに拓かれた専門図書館活動-
受賞館: 大阪産業労働資料館(エル・ライブラリー)

受賞理由:
地域における公共的活動拠点として開かれ、広範囲な人々が支えている点を評価。

推薦詳細:
日本で最もMLA融合を実践するライブラリー。図書だけでなく、労働組合資料、工具、ゲバ棒から椅子まで、日本でここにしかない貴重な博物資料を収集・提供する。全国のサポーターから支援を受けることで、公費によらない運営を実現していることは、一つのロールモデルにもなっている。
http://shaunkyo.jp/


ライブラリアンシップ賞

長年にわたって地域住民や図書館員が協同し、さまざまな図書館活動を継続的に行った図書館等を称えるため、今年度創設した賞です。ここで言うライブラリアンとは、図書館員グループおよび地域住民の総体を示しています。長期にわたって日本を代表する優れた図書館サービスを、館種を超えた図書館や地域住民と共に行ってきたことを評価するものです。

ライブラリアンシップ賞 -図書館の市民自治-
受賞館: 伊万里市民図書館と伊万里市民図書館友の会 図書館フレンズいまり

受賞理由:
20年間にわたり、市民と共に優れた図書館運営とサービスを提供した点を評価。

推薦詳細:
伊万里市民図書館は、その設置・建設の過程より市民参画によりつくられ、運営されている。公共図書館が、自治体によるサービス提供と住民のサービス享受という関係にとどまることなく、公共運営の本義である団体自治と住民自治の融合により存続する事業体であることを20年間にわたり示し続けていることを特に評価した。
http://www.library.city.imari.saga.jp/sonota/friends/friends.htm

ライブラリアンシップ賞 -地域に役に立つ図書館-
受賞館: READ&LEAD 地域の活性化と住民の幸せに貢献する鳥取県立図書館と県内図書館ネットワーク

受賞理由:
県内および全国の図書館と密なネットワークを構築し、知のインフラを体現した点を評価。

推薦詳細:
鳥取県立図書館は、ビジネス支援サービスや県内公共図書館・学校図書館との連携ネットワークの構築による社会全体の知的基盤整備に努め、「地域の役に立つ図書館」というこれからの図書館像を確立し、リードしてきた。これからの図書館のあり方に対する、10年間にわたる課題提起および貢献を特に評価した。
http://www.library.pref.tottori.jp/

Library of the Year 2016 第2次選考会

第2次選考会 議事録

Library of the Year 2016 第2次選考会 公開議事録(PDF 291KB)


選考委員長・受賞機関のコメント

選考委員長のコメント

「2016LoYを終えて」

選考委員長 山崎博樹

2016LoYは、11年前に始まった過去のLoYを振り返ってみても大変な激戦であったことは間違いないだろう。その意味も込め、日本の図書館が進むべき新しい道を切り拓いてくれた受賞6機関に、まずは最大限の賛辞を贈りたい。

昨年11月、LoY中止のアナウンスの中で、水面下でLoY再開のための検討が始まっていた。近年、LoYは図書館内外から注目を浴びるようになり、中断が長引くことは図書館界にとっても決してプラスにはならないという考えが、知的資源イニシアティブ(以下、IRI)の高山代表理事、担当理事、関係者にあった。

しかし、再開するとなるといくつかの改革が必要であった。その一つは選考委員の増員と委員名の公開であった。経験や地域も考慮し、14名の選考委員を候補として打診を行ったが、全員から了承を得ることができた。次に協力していただく団体・企業への依頼を行った。幸いなことに図書館総合展運営委員会が共催を引き受けてくださり、2企業がスポンサードしてくれることになった。このことにより、今年度も選考委員が候補機関を実際に訪問する機会を得ることができた。最終選考会に来場していただいた方々の意思をどう尊重するかも大きな課題であった。

議論の末、オーディエンス賞を設けることになった。因みにこの名称は、猪谷千香選考委員が発案してくれたと記憶している。 

一次選考では、18機関が公募で、35機関が選考委員により、推薦された。すべてが素晴らしい図書館サービスを実践している機関ばかりであり、選考は困難が予想された。4時間におよぶ長時間の討論を経て18機関が決定し、二次選考に進んだ。二次選考会は一般公開で行われた。当然ながら18機関から優秀賞対象機関を選ぶことはさらに大変難しいことであったし、選定される機関の関係者を目の前にして議論するという状況は、大きなプレッシャーを選考委員に与えていたであろう。ここで、選考委員長である私から、ライブラリアンシップ賞新設の提案を行った。突然の提案であったこともあり、当初はとまどった選考委員もいたが、最終的には全員の賛成を得ることができた。提案の背景として、今回この賞を受賞した鳥取県立図書館と伊万里市民図書館の実績を考えた時に、従来のLoYの物差しで他機関と比較することは難しいと思った。また、10年から20年という長期間にわたって優れた図書館が中核となってサービスを継続することは、大変困難なことであり称賛に価することである。なお、ここで言うライブラリアンとは、その機関の職員だけではなく、図書館に関係する住民や他地区の図書館員も含んだ広義の意味合いを込めている。今後もこの賞に該当する機関が推薦されたら、積極的に授与していくつもりである。 

大賞、オーディエンス賞を決める最終選考会には4機関が進んだ。公開した議事録から2次選考会が大変な激論であったことからもわかるとおり、どの機関の活動も非常に優れたものであった。ある意味、2016 LoYはここで完結していると言っても差し支えつかえないと思っている。 

2016年11月9日総合展特設会場に200名の来場者を迎え、最終選考会が開催された。今年度から優秀賞の4機関の紹介は、その機関の担当者や関係者が行うことになった。伊丹市立図書館ことば蔵(以下、ことば蔵)と東京学芸大学学校図書館運営専門員委員会(以下、学芸大学校図書館)は実際に活動にしている関係者を、紫波町図書館とエル・ライブラリーは実際の図書館の担当者が説明を行った。昨年度までは選考委員が推薦する有識者が行っていたが、よりわかりやすく、参加者に訴える力も大きくなったと感じた。時間の関係で短い紹介となってしまったことが残念と思ったのは、私だけではないだろう。 

大賞の審査員は選考委員から5名をお願いしたが、今年度の審査員は実際に優秀館のほとんどを訪問していたため、事前の内容把握も進んでいたと思われる。しかし、最終選考会で4機関の紹介を聞いて、やはり最後まで迷うことになった。このことは審査会での発言に表れていたし、大賞投票結果と会場票の投票結果にも示された。審査員には自身の評価基準を最終選考会場で表明してもらったが、いくつかの共通点があった。それは「連携・つながり」と「継続性」であったと思う。優秀賞受賞館は、それぞれこの点については十分に評価できるサービスや取り組みを行っていた。 

ことば蔵は、市民との共同・連携による学びと遊びをテーマとしたユニークな取り組みを行っている点、紫波町図書館は、革新的な図書館サービスから住民の信頼を得ていた点、エル・ライブラリーは、市民が専門図書館をささえる関係を構築した点、学芸大学校図書館は学校司書や関係者による協力しデータベースを他の図書館に提供している点、これらの取り組みはまさしく審査員の評価基準に該当するものであったと言える。もちろんベースとなる通常の図書館サービスも優れたからこそ、このような取り組みが行えたことも認識していて欲しい。 

オーディエンス賞は学芸大学校図書館に決定。初めて学校図書館の取り組みがLoYで評価を得たことに学校図書館への可能性を感じた。 

大賞はことば蔵に決定した。1票差という僅差であったが、あえてその要因を考えてみると市民が図書館サービスに自ら積極的に関わっていることにあったと思う。同時に日本の公共図書館サービスもようやくここまで到達してきたとの感慨を持った。 

2016 LoYは、候補機関推薦者、図書館総合展事務局、スポンサー企業の方々、選考委員、IRI担当者、クラウドファンディングで資金提供していただい方々、多くの協力があったことで事業を終えることができたと考えている。この場を借りて感謝を申し上げたい。 

すでに2017 LoYに向けて準備が始まろうとしている。その年のLoYが最良のLoYと言われ、そのことが日本の図書館の活性化につながることを祈念し、関係者一同努力を続けていきたい。

大賞・優秀賞受賞のコメント

「伊丹市立図書館ことば蔵」

伊丹市立図書館ことば蔵 園長 綾野昌幸

この度はLibrary of the Year 2016大賞を賜りありがとうございます。この場をお借りして、最終選考会当日にプレゼンテーションしてくだいました交流フロア運営会議メンバーの若狭健作さんをはじめ、関係各位に厚く御礼申し上げます。
この機会に開館して4年、ことば蔵の歩みを振り返ってみたいと思います。
「公園のような図書館」…「さて、どうしたものか」
「公園のような図書館」これが、ことば蔵開館時のコンセプトです。貸本だけじゃない、誰もが気軽に訪れて交流できる公園を目指して、様々な取り組みをしてきました。この公園を管理しているという意味で、私は園長と呼ばれています。ではどうすれば、ことば蔵が地域活性化に資する公園になるのか。 

答えは伊丹の誇る強い「市民力」でした。ことば蔵が開館する前から伊丹では、さまざまなイベントなどで市民の力が発揮されていました。ことば蔵が真の意味で「公園のような図書館」になるにはどうしたらいいのか、を考えると「市民の方と一緒に作り上げていくしかない」という結論にたどり着きました。

「つくった」モノを効果的に「つかう」。そのためにヒトを「つなぐ」そしてコトを「つくる」

行政が整備して、それを上手く使っていただく。そのためには、市民力を新しくオープンする、ことば蔵にどうやって繋げることができるか、がポイントでした。それが開館前から毎月開催しています「交流フロア運営会議」です。この、誰でも出入り自由で交流フロアを使ってやりたいことを発表できる会議で人をつないで、ブラッシュアップした企画でことば蔵の事業を創っていきます。評価していただいた「まちゼミ」や「帯ワングランプリ」もまちの店主や事業者と図書館をつないで実施できている事業です。 

「目的」ではなく「目標」

今回いただきましたLibrary of the Year大賞は開館前から運営会議のメンバーや様々な形でことば蔵に関わっていただいている方々と「いつか受賞できるといいね」と合言葉のように励みにしてきました。もちろん、それがことば蔵の目的ではなく、目標としてです。市民力でいただいた賞ですので、本当に多くの方の顔が浮かんできます。 

「継続」と「挑戦」

基本的にことば蔵の交流事業は関わる人たちが無理をせず、多額の予算もかけていません。市民力があるからこそ、続けていけるシステムです。しかし、継続しながらも新たなコトに挑戦する姿勢は変わらず持ち続けたいと思います。今度はライブラリアンシップ賞を新たな目標で励みとしまして…今後とも引き続きご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。

ライブラリアンシップ賞受賞のコメント

「伊万里市民図書館と伊万里市民図書館友の会 図書館フレンズいまり」

図書館フレンズいまり 代表 井樋有希

今年創設された「ライブラリアンシップ賞」を受賞し、喜びのなかにいる「図書館フレンズいまり(略:「フレンズ」)です。今回は、受賞させていただきどうもありがとうございます。

私たち「フレンズ」は、図書館と「協力と提言」を行える間柄で、よりよいパートナーとして、この20年間歩んできました。「伊万里市民図書館」という名称が示すように、市民のための図書館は、市民の皆様にとっては、「当たり前」な「普通」の図書館です。この「当たり前」な「普通」の図書館が、これからもずっと続くよう、図書館と共に活動していくことが、私たち「フレンズ」の役目だと思っています。そして、もっともっとたくさんの市民の皆様に、「フレンズ」の活動を知ってもらうことも大切なことだと思っています。

皆様、一度私たちの「伊万里市民図書館」にいらっしゃいませんか?私たち「フレンズ」や図書館スタッフが、喜んでご案内いたします。 

伊万里市民図書館 館長 杉原あけみ

この度LoY2016において、新設されたライブラリアンシップ賞をいただきまして、この上ない喜びを感じております。伊万里市民図書館を産み、育ててきた友の会の皆様と行政、図書館を愛し、活用してくださる市民と図書館員、20年にわたって、伊万里市民図書館に関わってくださった全ての皆様の情熱と実践力がこの賞へとつながりました。

図書館の不変の原理を大切にしながら、社会の新たな課題を解決するために、市民の方々の役に立つ図書館でありたいと願い、図書館サービスを続けてきました。今回そのことを評価していただき、感謝の気持ちでいっぱいです。受賞を機に、さらに人づくり・まちづくりを支える成長する図書館をめざしていきたいと思いを新たにしております。

「伊万里をつくり 市民とともに育つ 市民の図書館」のスローガンのもと、これからも図書館フレンズいまりとともに車の両輪となって歩んでいきます。ありがとうございました。

「READ&LEAD 地域の活性化と住民の幸せに貢献する鳥取県立図書館と県内図書館ネットワーク」

鳥取県立図書館 館長 福本慎一

この度は、Library of the Year2016に新たに設けられたライブラリアンシップ賞の最初の受賞者として表彰を賜り、本当にありがとうございました。関係者の皆様に厚くお礼申し上げます。
表彰式には鳥取県立図書館が出席しましたが、この賞は「鳥取県立図書館と県内図書館ネットワーク」に与えられたものであり、表彰式のスピーチでも申しあげたとおり、県内図書館関係者の代表として賞を受けたと思っています。

鳥取県立図書館としては2006年に第1回のLibrary of the Yearをいただき、当時のビジネス支援などの取り組みを先進的なものとして高く評価していただいたことで、自信を持ってより一層の取り組みにつながったものとして感謝しています。そして、今回の受賞は、その2006年を上回る喜びであります。というのも、それまでのLibrary of the Yearの評価軸になかった長年の継続した取り組みに対する評価であり、この「継続」ということの大変さを実感していたからこそであります。

今回のLibrary of the Year2016優秀賞4館の審査に当たり、審査員のお一人が重要視するポイントとして「継続性」を上げておられました。過去の受賞館を見ても、その後の活動が続いていない例があり、継続性があるのかどうかは大事だとの趣旨でした。

その意味でも、創設から10年の区切りを経て、11年目に入った今年、ライブラリアンシップ賞が創設されたということには大きな意味があるのではないかと思います。

鳥取県は人口57万人の小さな県ですが、県内すべての市町村に公共図書館があり、県立高校に正職員の学校司書が全校配置され、すべての小中高等学校に司書教諭の配置と時間軽減措置が取られています。また県立図書館内に「学校図書館支援センター」を設け、市町村立図書館とも協力しながら学校図書館を支援していますし、さらに病院や大学とも連携し、小さい県だからこそ顔の見えるネットワークを築いており、これを長年にわたり継続してきてことが今回の受賞につながったと思います。

さて、10月21日午後2時07分に鳥取県中部で震度6弱の地震があり、中部地区の市町村図書館や学校図書館に大きな被害が生じました。県立図書館では、被災地の混乱にも配慮しながら直ちに県内図書館の被害情報を確認し、ホームページで情報提供しました。そして翌日から県内図書館関係者や学校司書が協力して復旧支援に当たり、多くのボランティアや学校の教職員、生徒たちの力もあって、短期間でほぼ復旧しました。これも、受賞が決定した8月には想定していなかったネットワークの力が発揮された事例と考えていますし、県立図書館だけではなく県内図書館の皆さんにもネットワークの新たな意義を実感する出来事だったのかなと感じています。

表彰式会場でお会いした多くの皆さんから「地震大変でしたね」、「鳥取県の復旧対応はさすがですね」という言葉をいただきました。おそらくホームページやSNSでご覧になったのだと思いますが、本当にうれしい言葉でした。

我々鳥取県の図書館は、今回の受賞を励みに、力を合わせて県民の役に立ち地域に貢献する図書館として頑張ります。ありがとうございました。

オーディエンス賞・優秀賞受賞のコメント

「東京学芸大学学校図書館運営専門委員会」

東京学芸大学学校図書館運営委員会委員長 山崎幸一

ライブラリーオブザイヤー2016の優秀賞、オーディエンス賞をいただきましたこと、心より感謝申し上げます。東京学芸大学学校図書館運営専門委員会は日頃、附属学校の司書と司書教諭が中心となり、学校図書館データベースの運営のほか、学校図書館を活用した授業実践、学校司書の研修のあり方等についての研究を進めております。同じ都内でも小金井・世田谷・大泉・竹早・東久留米といった、離れた地区の学校園の司書・司書教諭が集まっての活動は、けっして容易なことではございませんが、そのような状況で長年、地道に継続してきた成果を今回、お認めいただけたのではないかと思っております。 

今後も全国の皆様方からの本委員会へのご指導・ご助言、よろしくお願い申し上げます。最後になりますが今回、会場でのプレゼンテーションでご尽力いただきました、白百合女子大学の今井福司先生に厚く御礼申し上げます。

東京学芸大学附属図書館 小野 亘

この度は、優秀賞,オーディエンス賞をいただくことができ、ありがとうございます。大学附属図書館として、これからも学校図書館運営専門委員会の一員として、学校図書館をひらき、つなぎ、そだてるお手伝いを、ささやかながらできればと思っています。

東京学芸大学附属世田谷中学校司書教諭 桒原智美

この度は、優秀賞,オーディエンス賞をいただくことができ、ありがとうございます。これまで、学校司書と一緒に司書教諭として学校図書館について皆で考えてまいりました。日常の授業をはじめ、教育実習生の授業や、公開研究会などにおいても、学校図書館を活用する場をもつことを実践してきたことが、このような形で評価されたことを大変嬉しく思います。これも幼稚園・小学校・中学校・高校・特別支援学校・大学の図書館と皆で協力することができたからだと考えます。

東京学芸大学としてのデータベースには、本学の附属学校をはじめ、全国からご提供いただいた指導案やワークシートが公開されています。全国の学校の授業でより多くの学校図書館が活用され、子どもや生徒たちにとって実りの多い授業がさらに広がっていくことを祈願いたします。これからも皆で協力して、この活動を続け、若い世代へとつないでいけたら幸せです。

東京学芸大学附属学校司書一同

このたびは、ライブラリーオブザイヤー2016の優秀賞・ならびにオーディエンス賞を賜り、光栄に存じます。ありがとうございました。特に、2009年より文部科学省の学校図書館活性化推進総合事業を受けて始動した「先生のための授業に役立つ学校図書館データベース」(http://www.u-gakugei.ac.jp/~schoolib/htdocs/)の継続的運営に対する評価がいただけたことをなによりうれしく思います。その立ち上げから、今日まで関わり、私たちを応援、協力してくださった多くの皆さまに、心より御礼申し上げます。

今回の受賞によって「先生のための授業に役立つ学校図書館活用データベース」が、公共図書館・大学図書館・図書館にかかわる様々な皆様にその存在を広く知っていただけたことは、大きな喜びです。

事例をつくることは授業者と学校図書館のよき振り返りができるコミュニケーションの機会ともなっております。授業事例のみならず「今月の学校図書館」「学校図書館の日常」など毎月更新される活動情報とともに、読書リテラシー・情報リテラシーに関わる事例やインタビュー記事、ちょっとしたお役立ち情報「GAKUMOのひみつ」など、全国のどの学校からでも事例の応募ができ、また閲覧可能です。毎月お送りするメールマガジンやSNSでも発信しています。誰でもが参加して集える「WEBの広場」です。全国の学校図書館活用を図るみなさまと共に学び、つながり、明日の学校図書館をひらいてまいりたいと思います。

また、事前投票、当日の会場の皆様の支持によって頂いたオーディエンス賞は、院生時代からデータベースを応援してくださった白百合女子大学の今井福司先生による熱いプレゼンテーションや、愛すべきマスコットキャラクター「GAKUMO」の力も大きかったと思います。今井先生とプレゼンテーションをつくる中で浮かび上がってきたキーワード「ひらく・つなぐ・そだてる」は私たちのすべての活動を的確に表現したものでした。今後もこの言葉を大切にし、息の長い活動を続けていきたいと思っています。

プレゼンター(白百合女子大学基礎教育センター) 今井福司

この度は優秀賞に加えて,オーディエンス賞まで頂戴することができました。お越し頂いて応援して頂いた方だけでなく,READYFORで事前にご支援頂いた方,Web上で応援して下さった方,そして陰で支えて下さったすべての方のご支持があってのことだと思います。深く感謝申し上げます。本プレゼンテーションは私が代表して発表いたしましたが,スライドそのものや当日の発表は,東京学芸大学学校図書館運営専門委員会の皆さまの著作です(そのため,スライドは記名しておりません)。

今後とも東京学芸大学学校図書館運営専門委員会を見守って頂き,ご支援頂ければ発表者としてこれ以上の幸いはありません。有り難うございました。

優秀賞受賞のコメント

「オガールプロジェクトと一体での紫波町図書館」

紫波町図書館 館長 工藤 巧

紫波町図書館は、開館4周年のまだまだ未熟な図書館です。それが賞をいただくとは、想像もできませんでした。受賞理由は、「オガールプロジェクトと一体での紫波町図書館」と言うことでした。地方創生の例として、公民連携(PPP)が、各種メディアに採り上げられたことが大きいものと思います。 

私たち図書館員は、基本的な図書館サービスの充実を図るとともに、まちづくりのために、何をするべきかをつねに考えてきました。そして、まちづくりのために誰かと、何かと連携し、連携するために、人と情報、人と人をつなぐことが大切であると考えました。まちづくりとは人づくりに他なりません。そして、それを支えるのは、プライドを持ってサービスする司書です。皆、図書館の立上げは初めての経験でしたが、試行錯誤を繰り返しながら、少しは前進できているかなと思います。

受賞を契機に、より一層市民の生活に染み込んだ図書館を目指します。

どうぞ皆さん、紫波町に、オガールに、おでってくなんせ!!!

ありがとうございます。

「大阪産業労働資料館(エル・ライブラリー)」

大阪産業労働資料館(エル・ライブラリー) 館長 谷合佳代子

このたびは当エル・ライブラリーに優秀賞をお授けいただき、ありがとうございました。 エル・ライブラリーは「大阪産業労働資料館」という正式名称にあるように、労働関係の専門図書館であり、博物館であり、文書館でもあります。大阪100年の社会労働運動の歴史資料を所蔵する資料館であると同時に、最新の労働労務情報を収集するライブラリーです。労働専門とはいいながら、収集主題は幅広く、市民活動の記録も積極的に集めています。 

今回、「日本で最もMLA融合を実践するライブラリー」という推薦の言葉をいただいたように、当館は資料種別に垣根をつくらない図書館です。と同時に、この図書館が大学の中に設置されているのではなく、交通至便な大阪の都心部に位置して、一般市民に開かれていることに意味があります。

ここにしかない貴重な一次資料に市民が直に触れることができ、当館がそれを活用して講座を開講しているということが、私立の公共図書館としての役割を果たしている証左であると自負しています。

そもそもエル・ライブラリーは、大阪府・市の補助金を全廃され、受託運営していた図書館を年度途中で廃止されたことから生まれた図書館です。2008年、利用実績の成果を生んだ大阪府の労働図書館を、「橋下改革」により廃止されてしまいました。民間活力の効果を出した図書館でしたが、当法人は年間予算の7割を失うこととなりました。極端な財政危機からエル・ライブラリーは出発しました。役職員が身銭を切り、全国の支援者がカンパを寄せ、労働組合が寄付を負担してここまでの8年間、どうにか運営を続けてきました。つまり、「支えられる図書館」なのです。

その間、歴史資料の保存だけではなく、それらを活用するためのさまざまなデータベース公開を行ってきました。市民活動の拠点としても地域や図書館コミュニティにライブラリーそのものを開いてきました。saveMLAK(東日本震災復興支援プロジェクト)の毎月の会議の場所として当館を提供し、スタッフが会計係としてボランティア活動を続けてきました。いくつもの持ち込み企画イベントも開催してきました。

中小企業の町大阪の労働者福祉のために、最新の情報を提供し、社員研修用DVDの貸し出し等の実績も築いてきました。そう、市民活動や労働者福祉を「支える図書館」でもあるのです。

そのような「支えあう社会をめざす」図書館、「働く人々の歴史を伝え、<今>を支える」図書館を評価していただき、感謝にたえません。

表彰式に館長が出席するために、留守を守ってくれた館長補佐・千本沢子を始めとしたスタッフに心から感謝します。当館は館長と館長補佐しか窓口係がいない小さな図書館です。いつでも館長不在の現場を仕切ってくれている館長補佐・千本に心からの感謝を。非常勤スタッフ、ボランティアスタッフのみなに言葉に尽くせない感謝をささげます。  Library of the Yearに当館を推薦してくださった 井上昌彦さん、いつも広報大臣を買って出てくださってありがとうございます。

エル・ライブラリーを支援してくださるすべてのサポーターに心からのありがとうを送ります。
受賞されたすべての館が素晴らしく、どこもが大賞をとっても不思議ではないほどでした。
市民とともに、市民のために、市民が支える図書館。
未来を支えるこどもたちのために頑張る学校図書館。
いずれにも心からの拍手と敬意を送ります。

大賞館の伊丹市立図書館さん、おめでとうございます! 受賞挨拶のとき、園長が感極まって言葉に詰まっておられる様子を拝見してもらい泣きしました。
今回、わたしは Library of the Year の選考委員でもありました。選考委員として述べたいことがあります。
図書館運営は競争ではありません。
来館者数や貸し出し冊数を競うのではなく、図書館界全体で底上げを図っていきましょう。 そのためにお互い褒めあい励ましあうのがLibrary of the Yearです。一等賞を競うのではなく、頑張っている図書館の新しい取り組みや面白い方法を褒めて、それをみなで見習っていこうというものです。

構造不況業種の図書館界がみなで頑張らねば、10年後20年後の日本の知的インフラは危ういのです。アメリカ大統領選挙でトランプ氏が選ばれたように、いま、反知性主義が跋扈していることが見て取れます。これをとどめるのが図書館員の使命です。 そのためにみなで支え合い励ましあってともに頑張りましょう。


Library of the Year (LoY) とは

概要

「Library of the Year」は、IRIが図書館など全国の知的情報資源に関わる機関を対象として授与する賞で、2006年に始まり2015年をもって10年間を一つの区切りとして中止することになりました。が、その後、関係者や全国の図書館員から再開を望む声が多く寄せられ、IRI理事会で慎重に協議した結果、2016年度からも引き続き開催することにいたしました。

Library of the Year 2016(新LoY)について

  • 新LoYでは、公共的な取り組みだけではなく、他の図書館にとって参考になる優れた活動や、独創的で意欲的に取り組んでいる具体的な事例を評価し、広く知らしめることを目的とします。学校図書館、大学図書館、専門図書館などの活動も選考の対象としています。
  • 対象となる館種も考慮しつつ、選考過程の可視化、優秀賞の設定の仕方、会場票の重視等いくつかの改善を行った上で実施いたします。

選考について

LoY2016の選考基準・対象は次項のとおりです。
他の図書館にとって参考になる優れた活動や独創的で意欲的に取り組んでいる具体的な事例を評価します。
全国の図書館を総合的に評価して、ベストの図書館を決めるものではありません

選考基準・対象

  1. 図書館及びそれに準ずる施設・機関における他の図書館の参考となる先進的な取り組みや活動について評価し選考する。
  2. 対象となる機関は、公立図書館、大学図書館、専門図書館、学校図書館、図書館団体、図書館関連企業など。
  3. ここ数年の活動を評価対象期間とする。
    ※ 施設や機関の規模の大小は問いません。

推薦の取り扱い

推薦を頂いた機関等は、IRIによる一次選考の候補とさせて頂きます。
なお、推薦された方が選考に関わったりプレゼンターになること等はありませんが、推薦内容の確認のためこちらからご連絡を差し上げる場合がありますので、推薦に際してご連絡先は必須とさせて頂きます。
(個人情報は、IRIが行うLibrary of the Year候補の推薦に関わる業務以外には一切使用いたしません)

選考委員会

選考委員会は、以下14名で構成されています。
山崎博樹(秋田県図書館協会) / 岡本真(ARG) / 平賀研也(長野県立長野図書館) / 小林隆志(鳥取県立図書館) / 熊谷雅子(多治見市図書館) / 岡野裕行(皇學館大学) / 澁田勝(獨協大学) / 猪谷千香(文筆業) / 谷合佳代子(エル・ライブラリー) / 内野安彦(同志社大学他) /井上昌彦(関西学院大学) / 仁上幸治(図書館サービス計画研究所) / 桂まに子(京都女子大学) / 今井福司(白百合女子大学)

お問い合わせ先

IRI事務局 info【 A 】iri-net.org (【 A 】を@に読み替えてください)